81歳バイデン、最悪はNATO首脳会議中に「発作」も…ハリス擁立で収拾図る米民主党は老大統領にいつ引導を渡すのか?

 

ハリス氏が抱える「5つの課題」とは何か

ということで、党内では理解が進み、またテクニカルにも一番スムーズということから、「ハリス後継」という動きは静かにスタートしています。そして、どの時点になるかは分かりませんが、バイデン本人が納得して降りると宣言した場合、またはバイデンが誰の目にも明らかな破綻を来して、周囲からタオルが投入された場合には、この後継策が公然と動き始めることになるようです。

問題はその先です。カマラ・ハリスという人は極めて有能な政治家であり、何よりもその弁舌は雄弁そのものです。特に、9月10日に予定されている次回のTV討論で、トランプと一騎打ちになった場合には、彼女が才能を遺憾なく発揮できれば、トランプを圧倒し中間無党派層を一気に惹きつけるかもしれません。

その一方で、彼女は何点かの課題を抱えています。その課題があったために、2020年の大統領予備選では予備選序盤に撤退を余儀なくされているわけです。同じ課題を彼女は今でも背負い、更に副大統領として新たな課題も抱えてしまっています。

具体的には次の5点が指摘できます。

1点目は、その経済政策が大きな誤解を受けていることです。彼女は、サンフランシスコの地区検事、あるいはカリフォルニアの検事総長であったときもそうですが、基本的にマイノリティの人権を徹底して擁護する立場でした。人権の闘士というイメージは彼女のブランドイメージでもあったのです。

そこで多くの支持者がボランティアなどでハリス氏の事務所にやってくるのですが、そこでハリス氏の経済政策が「市場主義」だし「グローバリスト」だと知ると、落胆してしまうということが、何度も繰り返されているようです。つまり、人権の闘士なのだから、経済は社会民主主義だろうという思い込みから、彼女の経済政策が誤解されているのです。

勿論、現在のトランプ派はグローバル市場を忌み嫌ってますから、ハリス氏としては、健全な市場主義や国際分業を説いて国益の立場から、トランプの「一国主義ポピュリズム」との対決が期待されています。ですが、その前の段階として、彼女は市場主義者だということを、明確に訴えなければ、これまで彼女の選対や副大統領事務所で繰り返されてきた混乱が再現してしまいます。

反対に、人権の闘士だが経済は自由経済という組み合わせは、いい意味でクリントン=オバマ=バイデン路線を継承することになります。この点のしっかりした売り込みは彼女の大きな課題です。反対にこの点で失敗すると、トランプ派の言うような「ハリスは過激な社会運動の闘士で反米」だという誤ったイメージキャンペーンを利することにもなりかねません。

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