「ハリス大統領候補」は移民、軍事、経済にどう対応?
3番目は、南部国境の問題です。ハリスは、バイデン政権の中で「南部国境に押し寄せる難民問題」を担当していました。このことは意外とよく知られていますが、一般世論の印象としては「成果が上がっていない」というネガティブな評価が多いようです。更に、トランプ派になると「ハリスは中南米の移民を手引する悪魔」などと根拠も何もない罵倒を展開しています。
実際のところは、ハリスは初期のホンジュラス難民については、ホンジュラス政府の治安改善対策にコミットすることで、減らすことに成功しています。このことが、偏見の目で見る右派だけでなく、一般世論にも伝わっていないのは、スタッフの失態としか言いようがありません。とにかく、この問題がいい例ですが、実績があるのにアピールできていない状況というのは、早く改善しなくては行けないと思います。
4番目は、軍事外交です。ハリスは副大統領としてウクライナ支援にも強く関与していますが、彼女が動くとどうしても人権の闘いというイメージになってしまいます。それはそれで悪いことではないものの、更にその外側にある世界観というのは、十分に伝わっていません。例えば東アジア政策については、中国にしても北朝鮮にしても人権の問題を抱える一方で、それでも必要な交渉は継続する必要がある中で、ハリスの知恵と胆力、構想力はまだまだ未知数です。これでは困るわけです。
5番目は経済です。市場主義者であり、経済の原理原則は父親仕込で高度な理解力はあると思います。ですが、問題は現状にどう対処するかです。コロナ禍後の加熱した経済を、冷熱両方のマジックを使ってソフト・ランディングさせようとしている、パウエルFRBのマジックには一理あります。ですが、インフレをこれ以上抑制するには、どうしても景気の一層のスローダウンが必要になります。
この難しい舵取りをどうしてゆくのか、勿論、バイデンにもトランプにも答えはないはずです。ですが、ハリスの場合は、より説得力のある方針が求められるのは仕方がないと思います。果たしてそこで最善手を選択して、世論を説得し、結果を出すことができるのか、これは最初から大きなハードルになります。
とにかく、ハリスが仮に「民主党の統一大統領候補」としてデビューする際には、この5つの問題については最低でもクリアしておかないといけないと思います。









