サンダース派と相性が悪いハリスの支持層「Kハイブ」
2番目は、民主党内の左右融和をどう継続するかという問題です。現在のバイデン政権は、穏健派と左派という本来は「水と油」である2つのグループを、ジョー・バイデンという史上珍しい老獪な政治家が一種のマジックを使って、1つにまとめることで成立しています。
バイデンは、サンダースやAOCの主張する強めな環境政策を丸呑みする代わりに、軍事外交、あるいは他の経済政策などでは左派から妥協を引き出しています。例えば、イスラエルのガザ攻撃についてなども、サンダースやAOCによる絶対反対という強硬姿勢を理解しつつ、是々非々で対応するなど、とにかく党内をまとめているのは事実です。
勿論、その影には「トランプという巨悪の前には何としても結束しなくては」という要素が働いているということもあるでしょう。ですが、とにかくバイデンでなくては「まとめるのは無理」というのが、この間の党内事情でした。
一方で、ハリスの場合ですが、このバイデン路線を完全に支持して支えてきたのは事実ですから、党内融和路線に賛成しているのは間違いないと思います。ですが、過去を振り返ると、とにかくサンダース派とは相性の悪さを露呈してきた歴史があります。
ハリスの人権+市場主義という政策パッケージには、実は強い支持グループがついています。人権の闘士だからハリスについていくという人は多いのですが、このコア支持層はあえて「人権の闘士+市場主義者」というセットメニューに意義を見出しているようです。
ちなみに、個人的には大いに共感できるパッケージでもありますが、それはともかく、このコア支持層は「Kハイブ」というハンドルネームでネット上では一定の存在感を見せたことがあります。
問題は、この「Kハイブ」の連中が、サンダース派とネット上では派手に立ち回りを演じてきたということです。中道が過激な態度で左派を論破にかかるというのは、特に経済施策の論争としては面白いのですが、とにかく心配なのは今でも遺恨が残っている可能性です。仮にハリスが一気に統一大統領候補として浮上した場合に、左派がこの遺恨からグズグズ言う可能性はあるわけで、まずはそこをどう乗り切るのかが難しいところです。