2.米国、国連依存でいいのか?
戦後の日本政府は、米国と国連に従ってきた。自国のビジョンを語る政治家がいないのは、米国と国連に従っていればいいと考えているからだ。しかし、米国も国連も時代と共に変化している。
米国内は民主党勢力と共和党勢力に分断されている。米国の力は弱体化し、世界の警察として機能することはできない。
国連も中枢に中国勢力が入り込み、自国に有利な政策を推進しようとしている。WHOは中国から多額の資金提供を受け、新型コロナ感染症の初期段階に、「人から人への感染はない」「中国への観光旅行は制限すべきではない」などと発言していた。国連が言うことだから間違いはないと判断するのは危険である。
安部首相は、トランプ大統領と信頼関係を結んでいた。岸田首相は、バイデン大統領の政策を全面的に支援している。どちらも米国の政策に追随するという戦後日本の暗黙のルールに従っていたのだ。しかし、トランプ氏にとって、バイデン大統領は大統領選挙の敵であり、バイデン大統領を支持する岸田首相も敵なのだ。
多分、日本の次期首相は岸田首相の政策を批判し、トランプの政策を支持するだろう。ルール通りではあるが、何とも主体性がなく、恥ずかしい限りである。
3.日本の問題は日本で解決する
問題は今後のことだ。トランプが大統領になれば、日本は自立が迫られるだろう。米国は自国ファーストで行くので、日本も自国ファーストで行けといわれるかもしれない。
トランプは長期的に米軍の海外基地を整理したいと考えている。日本や韓国から米軍が撤退するかもしれない。NATOからも脱退するかもしれない。
トランプがロシアのプーチン大統領と関係改善すれば、日本とロシア、日本と中国、日本と北朝鮮とも独自外交が必要になるだろう。
既に米国が弱体化し、世界は不安定になっている。安部元首相は「台湾有事は日本有事」と言ったが、米国にとって台湾有事の優先度は低いだろう。中国が台湾進攻しても、すぐに米軍が動くかは分からない。議会で支援の内容を決めなければならないからだ。
では、日本は自衛隊を動かせるのか。台湾進攻と共に沖縄の一部が攻撃されれば、憲法改正ができていれば、軍を差し向けることは可能かもしれない。しかし、その意思決定は誰が行うのか。
これまでならば、米国にお伺いを立てれば良かった。しかし、トランプ政権では、「日本の問題は日本で解決しろ」と言われるかもしれない。
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