今後の五輪に必要なのは「アメリカのシェア低下」だ
この米国マネー依存ですが、次に詳しく述べますが、日本の場合はもう対抗できる余力がなくなっています。ですから、EUあるいは中国にもっとカネを出すようにさせるか、あるいは五輪運動にそんなに積極的でない中東やインドを引っ張り込むか、何らかの新しい五輪変革をやってアメリカのシェアを下げる必要があると思います。あるいは、徹底的に省マネーの大会にして、カネで歪められるのを避けるとか、とにかく抜本改革が必要です。
日本の事情ですが、例えば日本の民放+NHKの放送権全体が今回の夏冬セットで400億円というのは、アメリカの国力と比較すると高すぎます。
次回の「コルティナ・ダンペッツォ冬季」+「LA夏季」については、2019年の時点で475億円だそうです。当時のドル円が110円程度ですから、今の換算レート(147円)で計算し直すと、635億円です。NHKと民放の比率は、7対3になっているそうですが、どう考えても民放に夏冬で200億円出す余裕はあるのかは疑問です。
ここは、どうしても「値切り交渉」が必要だと思います。その意味でIOCという組織はカネを取る側であり、日本側は値切る必要があるのですから、利害の対立をしっかり受け止めて日本経済の利害で行動できる人物が交渉に臨むべきと思います。
更に言えば、もうNHKと民放でいい加減な分担をするのは止めて、共同制作にするのがいいと思います。最高の専門家が専門のスポーツの解説ができないなどという滑稽な「大人の事情」などというのは、止めるべきだからです。
それはともかく、カネまみれの五輪、また開催時期の縛りというのは、今後の「五輪ムーブメント(運動)」に暗雲を投げかけています。過去には、様々な文化圏からの招致の動きがありました。
少なくとも、イスタンブール、バクーなどは、まだ開催の能力があるし、開催意義は大きいと思います。ですが、こうした新しい都市が主催するのは難しくなっているというのは問題だと思います。









