プーチンは核兵器を使うか?ウクライナの「ロシア越境攻撃」で絵空事ではなくなった最悪シナリオ

 

「これまでに開発され使われなかった兵器はない」という現実

それを懸念するのか、ウクライナ政府はクルスク州への侵攻の勢いを高め、ロシアから停戦に向けた要請を引き出すために、NATO諸国に供与された長距離兵器をロシア攻撃に使用することを認めるように依頼しています。

現在のところ、欧州各国はそれを承認しておらず、アメリカ政府も承認していないようですが、ウクライナ軍の国防相は「今このチャンスを活かさなければ、ウクライナはロシアに潰される」と迅速な承認をNATO諸国に迫っているようです。

個人的には、アメリカ政府は今回のウクライナによるクルスク州への攻撃・侵攻に対して「寝耳に水」と言っていますが、もしかしたらこれが以前言っていた「ゼレンスキー大統領とバイデン大統領が信じている“もう一度、ロシアに対する反攻ができるチャンスがある”という内容なのか」と分析を急いでいるところです。

もしそうだとしたら、アメリカ政府およびNATOの他の加盟国は早急にウクライナを支えないと、ウクライナはロシアの大規模かつ本格的な反撃・報復攻撃に晒され、これまでプーチン大統領が持っていた“ウクライナを活かす”という戦略が、“ウクライナを潰す”という内容に書きかえられ、ウクライナの破壊攻撃とNATOの結束を乱すための加盟国への攻撃の実施に発展することになりかねません。

そうなったら、核兵器を有効な戦略兵器の一つと位置付けるロシアが、核を使用してウクライナに壊滅的な被害を与え、バルト三国に攻撃を加えて残虐行為の限りを尽くし、さっと撤退してNATOの反撃に対する意志を見極めつつ、一気にロシアに近接するNATO諸国をNATOの西側諸国から切り離す作戦に出ていく可能性が出てきます。

従来、プーチン大統領本人は核兵器の使用には後ろ向きと言われていますが、自らの政治的な基盤を守り、権力体制を維持し、そのためにNATOの東進を阻止し、かつ新ロシア帝国を構築するという宿願の実現を第1の優先事項に据える場合、持てる戦力をふんだんに使う可能性も排除できないでしょう。

8月6日湯崎広島県知事がスピーチの中で触れたように「これまでに開発され使われなかった兵器はない」のですから。

ロシア・ウクライナ周辺でさらに緊張が高まり、非常に危険な状況が生まれていますが、国際情勢をさらに緊迫させ、世界的な大戦争に発展しかねない状況を作り出しつつあるのが、中東における行き場のない怒りのマグマの存在です――(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2024年8月16号より一部抜粋。続きをお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)

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