ここにきて、フリダシ。
長時間かけて選び終わったカゴの中の4個のパンが、ブレるなとささやいてくる。またゼロからの選考ほどの体力も気力も残っていない。
韓国海苔使用まぐろユッケおにぎり…?やみつき!焼豚炒飯おむすび…?もちもちいかめし おこわおむすび…勝てるわけがない。これほどの強烈な誘惑に勝てる人間であればとっくに億万長者になっている。
その時です。信じられない!と思わず二度見したのは何の具も入ってない、海苔も巻かれてない「塩おむすび」なる商品。
えっ!!なにコレ!冗談でしょ。 。。お米の美味しさと塩加減だけで勝負するってことだよね!!??僕が日本にいた頃にはなかったよ、こんなの。
って、つまり、、…一周したってこと? だよね。この国はどこまで行ってしまうのだろう…。
どうする。パン2の、おにぎり2か。 あるいはパン1で、おにぎり3か。 いや、あえてパンを捨ててのおにぎり4か。 熟考は続きます。苦しくなってきて泣きそうにもなる。
ガン飛ばして、ハァハァ言って、ニヤニヤして、今は目が真っ赤。 今考えると通報しなかったアルバイトくんに感謝だな。
結果2-2でやっとレジにたどり着きました。すでにクタクタになっている僕は、カウンターで販売してるホットコーナーを視界に入れないように努力する。チラッと見えただけで「横浜中華街特選豚まん」と「欧州ビーフカレーまん」が気になって気になって仕方なかったもの。 このままだと本当にコンビニで1時間以上が経過してしまう。
これだけ購入して「798円です」といわれた際は、感動して鳥肌が立ちました。コノコのバイト代ハドコカラデテイルノ?
おつりを丁寧に両手で渡してくれて(賭けてもいい。 ニューヨークでそんな店員を見る事なんて絶対にない)しかも、ビニールの買い物袋の取っ手部分を、持ちやすいようにクルクルとひとつにして、わざわざこちらに向けて頂いて候。そしてチップも払ってないのに「ありがとうございましたー♪」の笑顔。
来日前、固い決意で「無関心ルール」を胸に刻んでいましたが、もうどうでもいい。 溢れんばかりの感動が抑えきれず、「こちらこそー!」とお辞儀してました(実話) 入店時、にらんでごめんね。
ガン飛ばし → ハァハア → ニヤニヤ → 熟考 → 涙目 → レジにてお辞儀。脱走してきた入院患者だよ。
まさにアミューズメントパーク。 いくら長居しても飽きないエンターテインメントスポット。
リア充満喫。十分な満足感で晴れやかに退店しようとした、その時。
プー、プーと、表にパンの搬入トラックが今まさに店先に駐車しました。
新商品が、搬入される可能性があるって、こと、だ、よ、ね。それらが棚に並ぶのを見届けずに帰るほどの潔さが、自分にはあるのだろうか。、、、
ふりだし。
ここにきて、ふりだしに戻る。
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