NTTドコモが基地局調達を富士通からエリクソンに切り替え。果たしてガラパゴスネットワークから脱却できるか?

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NTTドコモが基地局の調達を見直し、富士通からエリクソン・ノキアに切り替えていくと10日に報道がありました。このことによって、ドコモは今後どのように変わっていくのでしょうか? 今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』ではケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんが、ユーザーにとって喜ばしいことだとして、その理由を解説しています。

NTTドコモ「ガラパゴスネットワーク」からの脱却目指す

日本経済新聞が2024年10月10日、NTTドコモが基地局の調達を見直し、富士通からエリクソン、ノキアに切り替えていくと報道した。2025年度までの2年間で1000億円規模の設備投資になるという。

国内ベンダーから海外ベンダーへの切り替えは、前田義晃氏が社長に就任した直後のインタビューでも「国内ベンダーにはこだわらない」と話しており、NTTドコモ社内では既定路線のようだ。エリクソンでも昨年ぐらいから「試験的にNTTドコモに導入してもらっている」と話しており、試験導入の成果がよかったものと思われる。

エリクソンに関しては、世界中のキャリアに納入していることもあり、様々な知見を持っているという点が大きい。また、3Gから4G、そして5Gとシームレスに世代を移行させる技術力に長けている。

一方、国内ベンダーは3Gや4G時代にグローバルで負けっぱなしで「5G時代に再起を狙う」とばかりに、NTTドコモとタッグを組んでオープンRANを契機に世界への進出を狙っていた。しかし、新規参入キャリアとして、5Gネットワークだけをやるのであれば、それでうまく行くのかも知れないが、どのキャリアも3Gさらには4Gネットワークを運用しているなかで、その上に5Gネットワークを展開するかたちになっている。

ユーザーを収容している3Gや4Gネットワークからいかに5Gネットワークに移行できるかが重要であり、3Gや4Gネットワークの運用に長けていないと5Gネットワークにスムーズに移行なんてできっこないのだ。

エリクソンはDSSという技術を持っているため、4G向けの周波数帯で5Gの転用につなげ、5Gエリアを広げることで、5G SAへの展開も容易になっていく。

国内ベンダーの場合、4Gと5Gは全く別のネットワークという考えであるため、結果、NTTドコモでは4Gから5Gへの移行に苦労していると言わざるを得ないのではないか。

今回、NTTドコモが国内ベンダーから海外ベンダーに切り替えていくというのはユーザーにとっては品質が改善されるという点で喜ばしいことだろう。

しかし、NTTドコモとしては海外事業として「オープンRAN」を担いでおり、それこそNECとOREXといった会社を作るぐらい注力していただけに、オープンRANの存在意義自体も揺らいでしまうのではないか。

果たして、来年のMWCでOREXがどんな主張をするのか、オープンRANに未来はあるのか、是非ともメッセージを聴いてみたいものだ。

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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