立憲・野田代表も、急いで政権交代はしたくない
そもそも現時点において、野田代表が本気で「政権交代」を狙っているとは考え難い。かりに野党が結束し非自民連立政権が実現するとして、うまくいくだろうか。
現在、参議院の勢力図は、自民・公明が140議席なのに対し、野党は、立憲・社民42議席、維新19議席、国民民主11議席、共産11議席……とかなり劣勢である。
これでは、たとえ非自民連立政権の予算や法案が衆議院を通過したとしても、参院で簡単に否決され、政策の実現に支障をきたすのは間違いない。
そうなると、またぞろ「悪夢の民主党」説のようなものが持ち出され、「やっぱり自民党しかない」ということになって、来夏の参議院選挙で自公が息を吹き返すこともありうるのではないか。
それよりは、今むりやり非自民の連立政権をつくろうとせず、参院選が終わるまで少数与党の石破政権を生きながらえさせるほうが立憲にとっては得策という考え方が成り立つかもしれない。
そもそも少数与党による政権運営はきわめて難しい。1994年4月に発足した羽田内閣がその実例だ。細川内閣の総辞職を受けて、同じ非自民・非共産8党派の枠組みで政権を継承したものの、社会党の連立離脱により少数与党となり、政権運営が難航。当時の野党・自民党が不信任決議案を提出し、戦後2番目に短い64日間で政権は幕を閉じた。
石破政権も与党が過半数を割ったままでは、野党の協力なしにいかなる法案、予算案も通過させることができない。政治改革が進まないうえ、政策遂行も思うに任せないまま来夏の参院選に至れば、惨憺たる選挙結果になることはまず間違いない。
立憲としては、多少の時間はかかっても、参院で多数の議席を得たうえで「政権交代」の勝負に挑むほうが理にかなっているともいえる。そしてなにより、国民民主も維新も現状では非自民連立政権を実現するため立憲と手を組むことに否定的なのだ。









