戦略を練り好機をうかがう、高市・萩生田連合は雌伏の時
では、自民党内の情勢はどうか。総選挙後の党内の勢力図の変化により高市政権の実現をめざす勢力はかなり弱体化したように見える。
総裁選で高市氏の推薦人となった20人のうち衆院議員は11人いたが、うち杉田水脈氏が出馬を断念。鈴木淳司氏(安倍派)、高鳥修一氏(同) 谷川とむ氏(同)、三ツ林裕巳氏(同)、若林健太氏(同)、土井亨氏(無派閥)の6人が落選した。土井氏を除く5人はいわゆる“裏金議員”である。
それだけではない。総裁選で高市氏に票を投じたとされる“裏金議員”のうち、当選したのは萩生田光一氏、西村康稔氏ら18人だけ。丸川珠代氏、下村博文氏ら28人はあえなく落選した。
もともと逆風が吹き荒れていたところへ、投票日の間際になって、しんぶん赤旗のスクープで自民党が非公認候補の党支部に2000万円の活動費を支出していたことが発覚、大手メディアも後追いし、野党から“裏公認”と批判を浴びたことも影響した。
それでも高市氏は初の女性総理になる野心を捨ててはいない。当選した萩生田氏らとともに新たな戦略を練るだろう。政策通だが自説を押し通そうとし融通がきかないともいわれる高市氏の弱点を萩生田氏がカバーし、“高市陣営”の結束を強めることができるかどうかがカギになる。
石破政権の「奇妙なバランス」長くは続かず
少数与党であっても、石破政権はしばらくの間、奇妙なバランスで継続するだろう。しかしそれも、さほど長くは続かないのではないか。
来年夏の参院選が近づくにつれ、選挙に勝てる“顔”にすげ替えようと党内から「石破おろし」の動きが強まる可能性が高い。内閣不信任案が提出されれば、党内から造反票が出るかもしれない。
現政権のまま参院選にのぞむとしても、今回の衆院選と同じように惨敗するようなら、それこそ石破首相は責任をとって退陣せざるをえなくなるだろう。
いずれにせよ自公体制が弱体化する流れは押しとどめられそうにない。“自民分裂”のシナリオさえ囁かれる。おまけに野党の方向感も定まらず、混迷は深まるばかりだ。いずれダイナミックな政界再編が避けられないと思えるが、身を挺してその仕掛人となる大器量の政治家が今の時代に現れるのだろうか。
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