トランプ氏の大統領再選で米国株が急騰する中、今改めて注目を集めているのが「米国株の神」と称される中島聡氏のメルマガ『週刊 Life is beautiful』です。2014年にNVIDIA株を購入し、同社が今年、時価総額3兆ドルを超え、米マイクロソフトやアップルを抜いて世界首位に躍り出ることを予見していた彼の先見の明から、「米国株を買うなら中島聡のメルマガを見ろ」とまで言われるように。そんな中島氏のメルマガでは、どのような投資手法や注目企業、最新技術への意見が語られているのでしょうか。今回は、メルマガ内で人気の「質問コーナー」を通して見えてきた、中島氏の洞察の一部をご紹介します。
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元ZOZOの前澤友作氏がはじめた新サービスについて
11/12配信号より抜粋
【質問】
ZOZOの創業者である前澤友作氏が、「カブアンド」という新たなサービスの立ち上げを行うようです。既存サービスとの違いは自社サービスを使うことにより、利用者に対して自社株を付与し株主になってもらうことが売りのようです。日本ではこれまでにないサービスであると考えますが、アメリカなどでは同様のサービスはあるのでしょうか?また、中島様はこの会社について何か見解などございましたらご回答お願いいたします。
目論見書:https://kabuand.com/prospectus.pdf
《回答》
カブアンドの存在は、この質問で知りましたが、なかなか面白いアプローチだと思います。米国も含めて、こんなアプローチをしている会社の話を聞いたことはありません。
一つ心配なのは、大量に生じる株主の管理ですが、技術の力で解決できるようにも思えます。この手の「常識破り」なビジネスモデルは、前澤さんのような人だから出来ることなので、頑張って欲しいと思います。
米国版の2ちゃんねると言われる「Reddit」について
【質問】
最近、Redditが第3・四半期決算で初の黒字を達成して株価が急騰しました。中島さんはRedditに関してどのように評価していますか、詳しく教えて頂きたいです。
《回答》
なかなか面白い立ち位置にいる会社だと思います。Facebook、Instagram、WhatsApp、Youtube、Xなどの大手SNSが注目を集める中、ニッチではありながら、一部の人たちにとっては「なくてはならないサービス」になっている点が興味深いところです。大量のテキストデータを持っているため、LLMの学習データとしての価値も高まっています。
ちなみに、私は今年の4月ごろにRedditの株を少しだけ購入し、そのまま持ち続けています。特に売る理由も買い増す理由もないので、このまま長期保有を続けることになると思います。
ビットコインと量子コンピュータの関係について
【質問】
質問はビットコインについてです。私はビットコインを10年ほど保有しておりこのまましばらくは保有する方針ですが、量子コンピューターが実現すればビットコインの暗号技術が破られるという見解もあり、どこかで利益確定をしなければと考えております。最近のメルマガで中島さんは量子コンピュータは実現不可能ではないが、そこまですぐに実現するものではないという見解だったかと思います。そこで質問ですが、量子コンピュータが実現した場合、ビットコインはなすすべなく無価値なものになってしまうのでしょうか。それまでにビットコイン側でも何かしらの耐性や対策を実装する可能性はゼロなのでしょうか?中島さんの見解を教えてもらえると幸いです。
《回答》
正確には「量子コンピュータにより、暗号通貨に使われている暗号技術が破られるようになったら」ですが、その時には、確かにビットコイン・エコノミーそのものが崩壊します。しかし、その時には、インターネットで使われているセキュリティの仕組みもことごとく壊れてしまうので、崩壊するのはビットコイン・エコノミーだけではなく、世の中は大混乱に陥ると思います。
しかし、量子コンピュータの技術をそこまで進歩させるのは簡単ではない上、そこに至る筋道すら明確に描けていないため、現時点でその心配をしても仕方がない、と私は考えています。
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中島聡氏がいま注目している外資系ベンチャー企業について
11/5配信号より抜粋
【質問】
中島様が最近注目されている、日本に拠点がある外資系テック企業を教えて頂けますか?こちらのメルマガで何度も記載されていると思うので大変恐縮なのですが、ご教示頂けますと幸いです。
《回答》
どの外資系の企業が、日本に拠点を持っているかを把握しているわけではありませんが、私が注目しているベンチャー企業の中で、最初に頭に浮かんだのは、OpenAIとStripeです。
ブロックチェーン活用の新たな可能性について
【質問】
最近の中島さんは、Web3、ブロックチェーン技術が活用できる可能性はビットコインくらいで、あとはポンジスキーム的なものにしか使えないという見解をお持ちですが、不動産取引への活用の可能性はないのでしょうか。
自分で自宅や親の家の売買を何度かやってみて、なんと前時代的でアナログで手間がかかるしとても危なっかしいものだと感じました。これでは地面師詐欺的なものが起こるのも当然だと思います。
大きな金額が動くものなので今のままでいいわけはなく、ブロックチェーンはぴったりだと思っていたのですが、ほかにもっとましな改善方法がありそうでしょうか。
《回答》
ブロックチェーンの技術は、政府とは相性が良いとは思っています。特に、議事録を残す、税金の使い道を明確にするなど、権力を持つ人たちを国民の監視下に置くにはとても良い技術です。
ブロックチェーンを不動産の登記簿として使うのも悪くないと思います。政府が管理するデータベースでも十分とも言えますが、普通の技術を使うと、技術が陳腐化したり、ベンダーロックインが起こりやすいのが難点です。時代を超えて記録を残すには、ブロックチェーンはとても良いツールと言えます。
とは言え、ブロックチェーンを使ったビジネスをやろうとすると、どうしても「新しい通貨を発行し、初期の段階で支持してくれた人に先行者利益を与え…」と、どうしてもポンジー・スキームになってしまいます。これは、Web3の「宿命」だと私は考えています。
自動車OSについて
【質問】
自動車業界のSDV化に伴い各社開発が進んでいる中でautosarという標準化団体でこれまで名を馳せてきたOEMが協力して自動車OSを開発している話を見聞きしました。テスラやBYDのような会社は、独自に開発してるという中で標準化団体で開発されてる自動車OS(=日本のOEMのOS)に勝機があると感じますでしょうか?
《回答》
Linuxのような例もあるので、絶対に無理とは言いませんが、とても難しいと思います。レイヤーの低い部分でインターフェイスを統一するのはとても良いアイデアだと思いますが、ユーザー・インターフェイスとか、自動運転のレイヤーになると、商業ベースのものに対抗するのは難しいと思います。
VWはすでにRivianのソフトウェアを使うと宣言しているし、TeslaもFSDを他社にライセンスする意向を持っています。Appleは、CarPlayで(スピードなどを表示する)ダッシュボードまで提供しようとしているし、GoogleもAndroid Autoを持っています。
当面は、(若干レイヤーが違うものの)この4者がシェア争いをし、そこにBYDあたりが食い込んでくる展開になるだろうと予想しています。
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以下では中島聡氏のことをよく知らない方のために、彼がどのような人物なのかを改めて簡単に紹介します。
米マイクロソフトでWindows 95、Internet Explorerなどを開発
中島聡さんは、日本で初めて米国マイクロソフトに転籍した天才エンジニアとして知られ、「Windows 95の父」とも称されています。1985年に早稲田大学大学院を卒業しNTTに入社するもすぐにマイクロソフト日本法人に転職。その後1989年に米マイクロソフトに移り、Windows 95やInternet Explorerの開発に携わり、「ドラッグ&ドロップ」や「右クリック」機能の実装を手掛けています。中島さんは、その後もマイクロソフトで重要な役割を果たし、技術の進化に大きな影響を与えています。
新NISA民にも人気、伸びそうなベンチャー企業を見極める先見の明
今後成長しそうなベンチャー企業の分析にも定評があり、ここ最近は「米国株を買うなら中島聡のポートフォリオを真似すればいい」「投資家たちはまず中島聡のメルマガを読め」とまで言われ、米国株戦略を参考したい投資家や、今年になって投資をはじめた新NISA民からの登録が激増しています。
中島聡 伝説1:2014年にNVIDIA株購入
今年時価総額が3兆円ドルを超え、米マイクロソフトや米アップルを抜いて世界首位に躍り出たNVIDIA株を2014年時点で購入している(分割前、1ドル以下)。その後NVIDIAの株価は200倍に。彼の注目する株の銘柄には、先見の明があり、同じ個別株を保有するだけで稼げるとまで言われるほど。
Nvidiaの株は2014年からガチホしていますが、2020年の時点でポートフォリオの中で7位、最近になって3位の地位に上昇しました。買い増したからではなく、単に株価が上昇したから順位が上がっただけです。 #メルマガのネタ
— Satoshi Nakajima @GraphAI (@snakajima) June 18, 2024
中島聡 伝説2:2016年にテスラ株購入
彼は2016年にテスラのモデルXを購入した際、その金額と同額のテスラ株を購入し、現在も保有しています。テスラはその後、2020年には株価20倍、時価総額でトヨタを超えたと話題になりました。
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中島聡 伝説3:2019年にZOOM株購入
コロナ禍で脚光を浴びることになった「Zoom」を提供するZoomビデオコミュニケーションズの将来性を早い段階から見抜き、いち早く投資。 【関連記事】 話題の「NFT」投資にいち早く乗っかるべきか?Window95の父・中島聡氏の警告と未来予測
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