「Windows95」のチーフアーキテクトを担当した伝説的なプログラマーで、投資家としての一面も持つ中島聡氏。シアトル・ハワイ・日本の3つの拠点で精力的に活動する中島氏は、次にどんな分野・企業が成長すると見ているのか?日本株・米国株の行方、またエンジニア視点での仮想通貨とNFTの未来について、マネーボイス編集部がインタビューを行った。(『週刊 Life is beautiful』中島聡)
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起業家、ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)、MBA(ワシントン大学)。 NTT通信研究所、マイクロソフト日本法人、マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発に携わっている。
インデックスはやっぱり強い?「長期的にはグロース株」
過去には、コロナ禍で脚光を浴びることになった「Zoom」を提供するZoomビデオコミュニケーションズの将来性を早い段階から見抜き、いち早く投資をしていたという中島聡氏。気になる企業・サービスを見つけると、すぐに実際に利用してみて、光るものがあれば投資を検討するといった“見極め”を常日頃から行っているという。そんな中島氏の視点では、今後はどういった銘柄が面白いと見えているのだろうか?
「最近は、投資の気運がかなり冷えちゃったんで、株価も上がらなくなって、ちょっと落ち着いちゃった状況ですよね。長期的には、やはりグロース株が今後も伸びそうな反面、SPAC(特別買収目的会社)で上場したような小さいところは、キツいかなと思ってます。
あと、今も相変わらずGAFAは強いんだけど、そのGAFAに続く集団がやっぱりしっかりと伸びてくるんじゃないですか。Zoomはどうか分からないけど、具体的にはNVIDIAやテスラ、それにNetflixとか。あと僕が好きなところだと、メタバース関連でUnity Softwareとか、あの辺です。
そういったところはやはりビジネスとして確かなもの、しっかりとしたものを持っているので、そこが強みですよね」
今後も、米国株が強い状況は当分続くだろうと考える中島氏。特定の銘柄を絞り込むのが難しい人には「米国株でインデックス投資しておけばいいんじゃないですかね」と語る。
「特に積み立て型のインデックス投資はいいんじゃないですか。毎月ちょっとずつ入れると。そうすると、自然にこうDollar-Cost Averaging(ドル・コスト平均法)になるじゃないですか。安い時にはたくさん買えて、高い時にあまり買えないと」
少子化が追い打ち。「ゾンビ企業」だらけで不健全な日本株
そのいっぽうで、このところめっきり元気がなくなっているのが日本株だ。
「日本はやっぱりもう少子化だし、かなり元気がなくなっている。そのうえ、みずほ銀行のような、ある種“ゾンビ”のような存在が生き残っている状況……。そういうのが生き永らえているというのは、そこが吸い取ってるわけです。
普通に考えたら、ああいう会社が残っているのは、フィンテックの会社にはチャンスなわけですよ。だから、日本からフィンテックのいい会社が出て来ても良さそうなものなんだけど、それがなかなか出てこない。
その理由は規制の問題もあるし、あとは国がそのゾンビを守ってるからっていうのもある。それだけに、若い世代も“みずほが嫌だからフィンテック”じゃなくて“みずほが嫌だから暗号通貨”って考えになっちゃって、それでなおさら元気な会社が出てこなくなってるんじゃないかな」