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世界が注目する日本の半導体銘柄、どれが買い?東京エレクトロン、信越化学、HOYA、レーザーテック、アドバンテスト、ディスコを分析=栫井駿介

今回は半導体銘柄について解説します。日本企業において半導体は将来の成長産業であり、世界で優れたポジションを築く企業が長期的に成長すると考えられます。一方で、半導体銘柄といっても内容は様々で、投資においてはそれぞれの特徴や目的に合わせて選ぶ必要があり、知識のないまま投資すると思わぬ痛手を被る可能性も。 今回は東京エレクトロン、信越化学工業、ルネサスエレクトロニクス、HOYA、レーザーテック、アドバンテスト、ディスコに焦点を当て、それぞれの特徴を紹介していきます。 (『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

期待される日本の半導体産業

まず、なぜ日本企業は半導体に強いのでしょうか。

日本は半導体競争ではインテルや台湾のTSMCなどに敗れました。NEC、富士通、東芝など、かつて栄えた半導体メーカーは競争に敗れた一方で、半導体を作るための製造装置や部材材料などは未だに強みを持ち、むしろ以前よりも強化されています。

その理由は、半導体が進化し続けているためで、原子レベルの微細な要求があるこの技術において、日本は伝統的に得意とし、優秀であったことがあります。また、インテルやサムスン、TSMCなどの企業は最終製品を作っている企業ですが、これらの企業は非常に厳格で微細な要求をしています。

日本企業はその要求に食らいつき、応えてきたことによって現在の地位を築いています。一方で、先端半導体を生産する企業と、半導体が世の中のあらゆる電子部品に必要なため、先端でなくても成功できる可能性もあります。

それを踏まえて半導体銘柄を紹介していきます。

東京エレクトロン<8035>

まず、東京エレクトロンについてです。
半導体では外せない企業と言っても過言ではないでしょう。

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出典:マネックス証券

東京エレクトロンは、世界3位の半導体製造装置メーカーで、半導体製造装置のコータ/デベロッパ、エッチング装置、成膜装置、洗浄装置、テストシステム、FPD製造装置などを手がけ、世界ランキングではアプライドマテリアル、ASMLに次ぐ3位の位置にあります。

東京エレクトロンは様々な製品を取り扱っており、他の半導体企業が特定の分野に特化している中、幅広い製品を提供しているのが特徴です。
取引先はインテル、TSMC、サムスンの3社でほぼすべてを占められていて、まさに半導体企業といったところです。

会社の始まりは半導体の最終製品を作るために部材を仕入れ、それを半導体メーカーに提供していた時期から始まります。
その後、自社で製造を始め、急速に需要が伸びていき、現在では世界第3位の地位を確立しています。

半導体市場は波が激しく、東京エレクトロンもその動きに影響を受けています。
例えば、半導体製造のリードタイムが1年かかるため、需要の変動が供給過剰を引き起こし、一時的に需要が冷え込むこともあります。
しかし、半導体市場全体は長期的に成長しており、東京エレクトロンもその中で確固たる地位を築いています。

株価のボラティリティは非常に激しく、2021年頃に半導体市場が盛り上がり、急激に伸びた後、一時的に半減するなどの動きが見られます。

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出典:マネックス証券

ただし、これは半導体に特化している企業の全てが抱える問題です。

半導体市場の拡大に伴い、東京エレクトロンは今後も成長すると見込まれますが、変動は激しいという点は覚えておいてください。

信越化学工業<4063>

次に取り上げるのは信越化学工業です。

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出典:マネックス証券

信越化学は、その名の通り化学の会社で、元々は重厚長大な製品を生産していました。
現在もその一面が残っていますが、石油コンビナートなどにある比較的大規模な工場を持つ企業です。

この企業の特筆すべき点は、化学製品を従来の大規模な工場に留まらず、どこでどのように使われ、どこが最も需要があり収益性が高いかを見極め、それに基づいて先端技術の研究開発を行い、新しい市場に製品を投入し続けてきたことです。

信越化学は化学製品の中でも、特に半導体製造に使われるウェハ(半導体をのせるための基板)の材料を提供しています。
半導体企業というよりは、化学製品をどこで使うかといった経済的な視点から半導体市場に参入したと言えます。

業績を見ると、半導体に特化しているわけではなく、生活環境基盤材料が最も大きなセグメントとなっており、住宅の建設において大きな役割を果たしています。

業績の好調さは、半導体市場の盛り上がりだけでなく、米国の住宅市場の活況も影響しており、これが大きな収益をもたらしています。
ただし、半導体市場の変動に加え、米国の住宅市場も景気に左右されやすく、半導体市場の動向だけではなく様々な方向から影響を受ける点に注意が必要です。

信越化学は多岐にわたる事業ポートフォリオを有し、優れた経営判断によってこれまで成長してきました。
将来もこの動きを続けることができれば、業績や株価の伸びが期待できます。

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出典:マネックス証券

株価は右肩上がりに伸びていますが、景気の影響を受けやすいことは考慮する必要があります。

Next: 株価は軒並み上昇…どの企業に投資する?半導体銘柄の攻略ガイド

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