本当に台湾有事で沖縄は“戦地と化す”のか?早大教授が煽る「あり得ない危険シナリオ」に浮かぶ“5つの大きな疑問符”

 

単に「漠然たる不安」を煽るのみの表現も

第2に、それでも台湾侵攻があったという場合、「中国は海空戦力で必要な制空権と制海権を掌握し次第、台湾北西部の新竹~桃園間に上陸戦を開始し、以降台北へ向けて進攻する」という一点集中型の電撃作戦を選ぶ(本誌No.1164)というのが、軍事常識である。

【関連】現実的にはあり得ない。日米の「台湾有事論」が根本的に誤っている理由

それに対して多湖教授は「東部から上陸する」というボンヤリした作戦が主流であると主張するのであるが、そのシナリオを誰から聞いて、どうしてそれを正しいと信じ、他人に向かってそれしないかのように自信ありげに語っているのだろうか。誰が考えても、グアム、沖縄方面から駆けつけてくるであろう米軍に背や横腹を見せて台湾に上陸しようとするのは間抜けとしか言いようがない。

また、「両軍の間の戦闘によって、多くの台湾市民が死傷し近隣諸国に逃れようとする市民が空港や港湾に集まるなど、混乱が起きています」というのも、どのような戦闘状況を想定している話なのか意味不明。

中国側が短期決戦型の決着を志向し多分その通りになる可能性が高い以上、台湾市民が空港や港湾に避難を求めて殺到して列をなし混乱が起きるといった事態はほとんど起こり得ない。この表現自体が、単に漠然たる不安を煽っている。

この記事の著者・高野孟さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 本当に台湾有事で沖縄は“戦地と化す”のか?早大教授が煽る「あり得ない危険シナリオ」に浮かぶ“5つの大きな疑問符”
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け