本当の敵(2)中抜き社会 ~稼がない人々に回される巨額の金
これは政治や役所だけの話ではなく、民間もそうですが、とにかく日本のありとあらゆるところには「中抜き」という毒が回っています。コロナ対策にせっかく予算を用意して大規模接種をしようとしても、専門外の広告代理店や旅行代理店が間に入って中抜きをするので、頑張っている医療従事者やパートには分配が十分にいかないなどということがありました。
似たような話は、本当にゴロゴロあります。最近ですと、社会の広範な物流を担うトラックドライバー、アニメ産業のクリエーター、コンピュータのエンジニアなども、本来ならばもっとダイレクトに自分の生産する付加価値に見合う報酬が払われて当然だと思います。ですが、彼らの取り分はわずかで、巨額の「中抜き」がされるわけです。
では、実際に「中抜き」をしている大企業の元請けが悪人であって、特にその株主とか経営者がボロ儲けをしていて豪華な生活をしているのかというと、それは違います。「中抜き」をしたカネはどこへ行くのかというと、大企業が抱えている事務部門など「稼がない分野」の人々の給与に回るのです。
この「稼がない事務部門」というのは、総務、人事、経理といった会社の部署に当たります。世界の常識としては、こうした「どの会社にもある似たような支援の機能」については、できるだけ簡素化するのが普通です。営業事務などというような仕事は、それこそDXで徹底した効率化をするのが21世紀の企業経営です。
ですが、日本の場合はそこにゾロゾロ人がいるのです。そこには「働かないオジさん」もいるわけですが、必死になって働いている世代にしても、本当は各社が標準化して大量に画一処理するところへ外注すれば良いタスクを、コソコソ自己流で手作業でやっているわけです。日本経済全体としては、生産性が悪いし、とにかく優秀な頭脳が何も産まない仕事に従事して、原本がどうのハンコがどうのという作業に振り回されているのですから大変です。
その結果として、本来ならリスペクトと高給が用意されて当然の現場にカネが回らず、中抜されるわけです。敵はそのような構造にあるということを見据えないと戦えないと思います。









