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本当の敵(4)空洞化と経団連 ~彼らは国内経済の代弁者ではない

どう考えても、日本経済衰退の元凶は空洞化だと思います。1979年の時点では、北米向けのトヨタ車、ホンダ車は100%日本製でした。ですから、アメリカはどんどん怒りを加速させていましたが、アメリカの消費者はそれ以上に劣悪なアメリカ車に怒っていたので、日本車は売れ続けていました。

ですが、アメリカからの圧力に耐えられないので、各社は徐々に現地生産を拡大しました。最初は、台数の総量自主規制をしていたので、低価格車を現地で作り、利幅の大きな高級車は日本から輸出することで、企業も儲かり、日本での雇用もありました。ですが、円高を理由にどんどん現地生産が進み、今では北米向けのトヨタ車の中では、超高級車以外は現地生産です。レクサスの場合などは、数の出るRXとES(時々九州製も混ぜるようですが)はほとんど現地生産です。

これでは、GDPも雇用も日本は貧しくなるだけです。半導体に関しては、世界一だった日本各社の現状は全く見る影もありません。台湾のTSMCが熊本に第2工場を作り、集積度の高い最新世代もやるようですが「日本には真似する力はもうない」と見切っての進出だと思います。

半導体の場合は競争に敗北したので、空洞化とは異なりますが、その他の電子機器に関しても中国などにどんどん出して、それも会社が傾くので、採算の取れる部分から売り払ってきたわけです。目的は簡単で、企業としては延命して間接部門を中心とした本社の給料を払い続けるためです。

自動車の話に戻すと、今は、ネジや金型など地味で付加価値の低い工程は日本の孫請けが作り、それを中国に出してエンジンなどに組み立て、更に北米に送って完成車にしています。デザインや電子技術などは北米で開発していたりもします。その結果として、国内には利幅の薄い部品や素材の産業と、何も産まない本社事務部門だけが残っている格好です。

会社は海外で稼いで儲かっていますし、社内では給料も上がっているのだと思いますが、日本経済への寄与はごく僅かです。同じ輸送用機器ですと、鉄道車両の海外からの受注も多くなっていますが、鉄道という公益性の強いクライアントの場合は、ローカル雇用を重視するので欧州の日立にしても、北米の川重にしても現地生産の率が圧倒的です。

ということは、いくら日本ブランドが成功しても、国内にはカネはほとんど回らないのです。もうそろそろ、この種の「行き過ぎた空洞化」の結果として、国内が貧しくなっているという認識を持つべきだと思います。

経団連などは、日本発の多国籍企業を代表してはいても、日本の国内経済は代表していないのです。

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