斎藤・玉木・石丸革命を叫ぶ「新しい有権者」が知るべき日本の敵とは?五大病を克服しない限りわが国に未来はない

 

本当の敵(3)財政健全化 ~そろそろ宗教論争に終止符を

これは政策の問題になりますが、防衛費を増額しようとしたり、福祉を充実させようとすると、とにかくカネが必要になります。福祉の中でも健保と年金は独立会計ですから、破綻しないように財政の健全化が必要とされています。その結果として、税金が上がり、社会保険料が上がり、国民の負担率はほぼ5割になってくる中で、家計はどんどん悪化、そこに物価高が重なってきています。

そんな中で出てくるのが、財政健全化の議論です。今回の「手取りアップ」とか「壁の撤廃」にしても、納税者に少しでもメリットが出ると、別の口実でカネを取ろうという動きが出ます。岸田前総理は、簡単にこれに丸め込まれるので、結局は期待した国民がバカを見たわけです。

今回の国民民主党の場合は、そう簡単には丸め込まれないよう頑張っているので、世論は玉木氏のスキャンダルを許す気配も見せているのです。その一方で、今度は地方自治体の方から地方税に手を付けるのは困るという動きが出てきました。このままでは、堂々巡りでこれまた結論に時間がかかる中で、結局は消費も冷え込み、少子化もグッと加速することになりそうです。

そこで問題にしなくてはならないのは、財政の健全化がどこまで必要なのかという議論です。財務省には、恐らく申し送りがあって、戦前に円安にすべき局面で円高政策を取った失敗が戦争経済を必要として国を滅ぼした失敗を繰り返したくないのだと思います。あるいは97年のアジア通貨危機において、韓国とタイがあっさり破綻したことのトラウマがあるのかもしれません。

その一方で、積極財政派にはそのような思いはあまりなく、国民の消費が増えず、産業が不振になれば全員が不幸になるので、カネを刷ったり借りたりして、どんどん市中にカネを回せという話になります。

何が本当の敵かというと、この種の「ザイム真理教」と「どうにかなる教」が、まるで宗教論争のようにケンカを続けているということです。

今のところは日本は個人金融資産があり、国の借金を消化しています。ですが、個人金融資産はやがて縮小します。そうなったら、海外からカネを借りないと国債の償還や利払いはできません。その一方で、海外からカネを借り始めると、借金が多くなって、対外純資産がプラスからゼロに近づいていきます。

それでも、今の日本は「大きすぎて潰せない」のですが、あるところまで来ると潰せるようになります。つまり3つのターニングポイントがあるのです。国債を海外に売らねばならないタイミング、その結果として対外資産がマイナスになるタイミング、それとは別に日本が小さくなって潰せてしまうようになるタイミング、この3つです。

それぞれに、ターニングポイントを過ぎたら、何が起こるのか、どんな政策を取れば破綻を先延ばしできるのか、これはもっともっと真剣にオープンに議論がされるべきです。

心配性な「ザイム真理教」と、楽観的な「どうにかなる教」の恐らくは中間値のあたりに最適解があって、消極的に過ぎても、楽観的に過ぎても破綻を引き寄せる危険が増すように思います。何も考えずに、敵味方の論理で論争を続けるのは、そのこと自体がリスクだと思うのです。

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