残念で寂しい。石橋湛山の言葉を引いた石破首相「所信表明」演説はなぜ物足りなかったのか?

 

石破首相が結語で再度示した石橋湛山の施政方針

しかしながら、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済政策」として示した内容は、マイノリティの存在は見えない。

この政策の目的として、第一は「日本経済・地方経済の成長」と明言した。

経済対策の一環として「今後2030年度までにAI・半導体分野に10兆円以上の公的支援を行い、10年間で50兆円を超える官民投資を引き出します。経済安全保障の強化や、リスキリング(学び直し)を含む人への投資も促してまいります」と前政権から「リスキリング」を引き継ぐが、これは経済効率寄りで「誰にとっても」のリスキリングからはまた遠のいた気がする。

さらに第二として「成長型経済への移行にあたり誰一人取り残されないようにすることが重要です」との「誰一人取り残されないように」とするために成長型経済が前提なのか、と考えると、社会保障が後ずさりしているようにも見える。

結語には、冒頭で触れた石橋湛山の施政方針を再度示した。

「常に国家の永遠の運命に思いをいたし、地方的利害や国民の一部の思惑に偏することなく、国民全体の福祉をのみ念じて国政の方向を定め、論議を尽くしていくように努めたい」。

ここは石橋湛山ではなく、石破茂の言葉でもよかったような気がする。

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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