闇バイトに狙われる「隙だらけな家」の特徴は?“元鍵師”の現役探偵が教える予算1万5千円の防犯対策

 

侵入されたらすぐ逃げることが何よりも大事

設置帰り際、お孫さんが、武器の相談をしてきた。

「さすまた」は使うのが難しく、素人向きではない。仮に「さすまた」でうまく相手を捕らえることができても、相手の方が、力が強いと押し返されてしまう。特殊警棒は、それなりに力が無いと有効打になりづらく、逆上されかねない。

スタンガンは、痛いだけだ。それに、大きな筋肉を狙って一定時間スパークさせないと、人は倒せない。

催涙スプレーも1人の相手には有効だが複数人いると腕などでガードされたりしてかからない。当然噴射がかからないと無傷だから効果がない。一方で熊に効くような強力なものだと自爆する可能性もある。スプレー自体は逃げる隙を作るものと考えた方が無難だ。

基本的に全ての武器を試し、使ってみたり模擬戦をしてみた結果の感想だが、戦うことよりも、とにかく逃げる方が有効だ。

戦って良いのは実践経験があり訓練をしている人のみであり、さらに準備が万全で、先制攻撃ができる時だけである。有利な場面以外は一切お勧めはできない。

そもそも予算もないわけだ。そこで、その辺にあるものを武器にしてすぐに逃げるようにと説得した。例えば、ダイエット用の2キロのダンベルを、ビニール袋にでも入れて振り回せば、相当な衝撃を発する武器になる。もろに喰らえば骨折してしまうだろう。

こうした武器は「スラッパー」と呼ばれているが、力が強い人が使えば、コンクリートを割ることも可能だ。

私は素振り用の鉄製六角棒で鍛えているが、誤って木製の収納ボックスに当ててしまったことがある。収納ボックスは派手に天板が割れ、横板やねじが飛び出て二度と使えない状態になってしまった。

ただし、警察発表で知る限り、「闇バイト」という無差別強盗事件の場合は、宅配便を装い、玄関を開けた瞬間殴られてボコボコにされるとか、ガラスなどを派手に割られて侵入され、やはり過剰なまでの暴力を振るわれるというケースが多いのだ。

なにより、玄関は開けないこと、侵入されたらすぐ逃げることが何よりも大事だろう。

本職の刑事はどのような対策を勧めているか

強盗の事を、隠語で「叩き」と言います。探偵業は届出制になり、管轄が公安委員会なので窓口は管轄の警察署です。日常的に警察の方と交流がありますが、やはり「叩き」は多くなったと言います。捜査の際に、結構な決め手となるのが防犯カメラの映像です。

今回は予算の都合でネットワークカメラを使いましたが、ネットワークカメラはとれた映像をネットの上のサーバーに保管します。つまりカメラを壊しても、奪っても、ネット上のサーバーに接続しなければ、消すことはできません。

また刑事さん曰く、日常的に周囲の方々ともよく交流を持っておき、異変に気が付いてもらえる、助け合える環境も作ってくださいとのことでした。

今回のお宅は、ご近所付き合いが結構濃厚にあるようでしたから、その辺は大丈夫なようですが、何にしても、警戒を怠らないようにしなければならないというのは、それだけでもストレスになりますから、こうした事件がいつまでも世間を不安にさせないような安全を取り戻せたらいいのにな、と思います。

年末年始を控え、実家に帰省する方も多いと思います。まめに連絡をするとか、休みの間に実家の防犯性能を少し高めておくなど、できる方はした方が良いと思います。私のように親孝行したいと思ったとき、すでに実の親がいないというバカ息子もいますので。

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