ジェラルド・カーティスが鳩山議員に送った3つのアドバイスは活かされず
米コロンビア大学名誉教授のジェラルド・カーティスが『日本経済新聞』の『私の履歴書』に登場した。知日派の研究者で『代議士の誕生─日本保守党に選挙運動』や『政治と秋刀魚』などの著作で知られる。連載の25回目(12月26日付け)は『民主党の興亡』と題され、見出しには「鳩山氏に助言、生かされず 官僚排除で政策は混乱」とある。
民主党が「政治主導」を掲げ、官僚ではなく政治家が政策を決めると主張したことで、官僚機構を遠ざけた。ある官僚出身議員は「おかげで副大臣が係長のような細かな作業をしている」と語ったそうだ。
ジェラルド・カーティスは政権交代が視野に入った2009年の衆院選前、鳩山由紀夫議員に3つのアドバイスをしたという。第1に「普天間基地に関し拙速な判断は避けること」、第2に「米国を含まず反米に映りうる『東アジア共同体』に肩入れしすぎないこと」、そして第3に「官僚機構をうまく活用する戦略を描き、決して彼らを敵として扱わないこと」だ。
菅直人議員には政策決定で参考になるからとイギリスの議院内閣制を学ぶように勧めた。関心をもった菅議員はロンドンを訪れてブラウン首相たちに会う。「だが結局、民主党が官僚制度をうまく動かして政策を実現する方法を学ぶことはなかった。むしろ官僚の排除によって政策は混乱した。これが同党をつまずかせる大きな要因になった」。民主党政権の陥落から11年。立憲民主党は政権交代への主体的準備ができているのか。
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image by:首相官邸
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