日米に取って代わり、今や世界一の自動車大国となった中国。しかしながら「輸入車」にフォーカスしてみると、若干の陰りのような状況も見えてくるようです。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』では今回、中国自動車流通協会が発表した2024年の同国自動車輸入台数のデータを紹介。その数がここ10年で半減した理由を分析・考察しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:中国の自動車輸入、2014年から半減の70万台、日本からが首位
中国の自動車輸入、2014年から半減の70万台も首位は「日本車」
中国自動車流通協会は2025年1月23日、中国の自動車輸入は2024年、前年比12%減の70万台になったと発表した。
2014年には140万台以上に達していたから、ここ10年で半減した形。
通常輸入の落ち込みは国内消費の減退を意味するが、中国は若干特殊。
ベンツ、BMW、アウディのジャーマン3などの高級車は中国現地生産を進めており、近年はそれが定着した。つまり、海外からこれら高級車を輸入する必要性は確かに薄まった。
また、中国には有り余る国内自動車過剰生産能力があり、それが中国勢の躍進とともに圧縮、国内市場に出回ったためにやはり輸入ニーズが減退した。
しかし、一方でやはり消費減退の傾向も見える。
際立つ日本車の大きなプラス成長
国別では、日本が前年比20%増の22.79万台となって首位。しかし2020年までは30万台以上を中国に輸入していたことを考えると、やはり低減している。
ただ、全体のマイナス成長に比べて大きなプラス成長になっているのは特徴的で、ドイツ(19.26万台)の同12%減、米国(10.94万台)の同5%減と比べても際立っている。
2021年や2023年はコロナの影響からか、日本はドイツに首位の座を明け渡していたが、2024年はまた差が広がった形。
ブランド別で首位に立ったのはレクサス
ブランド別では、レクサスが同ゼロ成長となる18.05万台で首位。
2023年はレクサスを抜いて首位だったBMWが同9%減の17.1万台となり、2位になった。
しかしレクサスも2020年には23万台以上を輸出していたことを考えると現状は大きく低減、ゼロ成長ということで2023年、2024年は各年18万台にとどまったこととなり、このあたりに定着し始めている。
2027年、レクサスは上海市での独資工場稼働を計画している、というが、これにより、主要高級車では唯一輸入のみだったレクサスも中国国内生産が始まる。
「中国で生産すれば売れる」時代の終焉か
ただし、すでに中国生産が定着して久しいジャーマン3は2024年、その中国生産・販売が苦戦している。
BMWが71.45万台と首位に立ったが、これは同13%減という結果。アウディも同11%減の64.94万台、ベンツは同7%減の71.4万台となった。
国内生産すれば中国での販売が伸びていく、というのももう過去のことなのかもしれない。
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