1960年代のバンド・サウンドに、今のアメリカには無い「景色」を見た

 

オーリアンズ(Orleans)のどこでも馴染むポップなロックは、よき米国の幸せな家庭を思わせる。「ダンス・ウイズ・ミー」が日本では知られているが、クリスマス・ソング等、米国流の幸せの形も表現している。

ギターで作曲を手掛けていたジョン・ホールは、環境保護の活動家ともなり民主党のニューヨーク州選出の上院議員となった。

共和党候補者との激戦を2度制し、3度目に敗れたが、リベラルな政治家としての気骨な姿勢を崩さず、共和党のジョージ・W・ブッシュが大統領選のキャンペーンには、オーリアンズの楽曲を使用することを認めなかった。

60年代にデビューした米国のバンドは今思えば、すべてが米国を表現していた。

それを実感するのは、2020年に公開されたドキュメンタリー映画「ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった」(原題:Once Were Brothers: Robbie Robertson and the Band)だ。

この映画で再度、その存在が見直されているザ・バンド(The Band)は、イギリスのビートルズに対抗する唯一の米国の「バンド」との声もよく聞く。

映画では、ブルース・スプリングスティーン、エリック・クラプトンらがその魅力を語っていて、世界のロック史における役割も再確認できる。

今やノーベル文学賞の称号を得たボブ・ディランのバックバンドとしてスタートした彼らにも、その楽曲に米国が凝縮されている。

成功と失敗を繰り返し、ストーリーは描かれていく。

色褪せないサンシャイン・ポップは、次の光に向けての、希望の調べだと思いたい。

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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