石破、空気読め。八潮市道路陥没で日本に広がる“明日は我が身”感…道を歩けず風呂も入れずに何が「楽しい日本」か?

 

死なないのは運が良いだけ!? 2030年の絶望的なインフラ状況

日本のインフラは、1955年から90年にかけての高度成長期に集中的に整備された。このため、老朽施設が急激に増え続けている。

国土交通省が5年に一度行っている点検調査によると、全国の橋梁(約72万橋)のうち、2030年には建設後50年を超えるものが55%におよぶ。また、トンネルは約1万1000箇所あるが、そのうち50年以上の老朽施設が30年には36%にも達するという。

不安をあおるようだが、事実を事実として受けとめることも必要だ。

われわれ住民はともすれば目に見えない施設劣化への関心が低く、近くで事故が起こらないと問題視しない傾向がある。自分たちは大丈夫という心理メカニズム、すなわち「正常化バイアス」のせいだろうか。

インフラの老朽化に関係する事故でメディアに大きく報じられたものとしては、天井板が崩落し走行中の車両に乗っていた9名が死亡した「中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故」(2012年12月)のほか、東京都北区で水道管が破損し、周辺の道路が陥没、20戸以上が浸水(2018年7月)したり、和歌山市の紀の川にかかる水道橋の一部が崩落し、約6万世帯が1週間にわたり断水(2021年6月)したケースが挙げられる。

こうした事象が起こるたびに、メディアで老朽インフラの問題が取り上げられ、国会でも現状と対策についての質疑が繰り広げられる。しかし、その議論は長続きせず、いつしかメディアの報道も立ち消えになるのがお決まりのパターンだ。

通常国会がはじまったばかりの国会でも、老朽インフラ対策についての議論が行われている様子は今のところなさそうだ。

連日、テレビ画面には、不運なトラック運転手の救助作業が続く道路陥没現場が映し出されているというのに、実に不思議なことだ。

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