国民は、地味な石破首相に浮ついた政策など求めていない
むろん、人口減少、少子高齢化が進むこの国で、インフラの維持管理を行うための財源を安定的に確保するのはむずかしい。このため、国土交通省は2013年に「インフラ長寿命化計画」を策定、不具合が生じる前に対策を行う「予防保全」への転換により、コスト縮減をはかろうとしている。
ドローンやAIを活用した効率的な点検方法も実用化されつつある。
ただ、計画はしっかりあっても、財源不足、技術系職員の減少の課題が解消されない限り、実行は覚束ない。
日本における公共事業予算の配分は、近年「新規建設」から「維持・管理」へとシフトしてきたのは確かである。しかし、インフラの老朽化スピードに対策が追いついていないのが実態だ。今後10~20年でインフラの維持・管理を適切に行わなければ、重大な事故が増加し、国全体の経済活動や安全に深刻な影響を与える可能性がある。
インフラの維持管理・更新は「現状維持」にすぎず、莫大なコストがかかるわりに、新規建設ほど政治的に目立たないこともあって予算計上が後回しにされがちだ。つねに選挙のことが頭を離れない政治家にとって、国民へのアピール力に欠ける政策に過ぎないからだろう。
しかし、なにより今の生活の質を落とさないことが、消極的なようでいて実はもっとも前向きな政策ではないか。
「楽しい日本」が上滑りのキャッチフレーズにならないために、石破首相は地に足をつけた施策に重点を置くべきではないだろうか。持ち前の地味さ、真面目さ、人のよさで勝負したらいい。浮ついた夢を語るより、暮らしを支える政策こそ、石破首相にふさわしい。
この記事の著者・新 恭さんを応援しよう
【関連】日本は自助の国だ?南海トラフ地震「想定死者32万人」が全く減らぬワケ…防災対策に遅れ、長期復興プラン「手つかず」の現状(新 恭)
【関連】なぜ新聞は「鹿児島県警の闇」を正面から報じないのか?盗撮・横領・ストーキング…犯罪隠蔽に加担する大マスコミの末期症状(新 恭)
新 恭さんの最近の記事
- 週刊文春“記事訂正”の罠にハマる中居正広とフジテレビの罪。日枝久の退陣は必然、やりなおし会見で露見した異常性
- 石丸伸二新党「再生の道」が秘めた破壊力と煽り性能。左派・右派双方に叩かれるほど6月東京都議選が「面白く」なるワケ
- 石破総理が恐れる「維国同盟」と自民密室政治の崩壊。吉村氏が玉木氏に急接近…石丸伸二氏は令和日本の坂本龍馬となるか?
- 「ラスボス」は過大評価、宮澤自民税調会長の正体。実態は財務省配下の小ボス…103万円の壁バトルで敗北を悟り震えている
- 石丸伸二氏と古市憲寿氏の話が「かみ合わない」当然の理由。マスコミがいまだ理解せぬ石丸旋風と大地殻変動の先を読む
- 杉田水脈はなぜ女のプライドを捨て「エセ保守の男たち」に媚びたのか?安倍・萩生田・ほんこん…男の顔色を窺う人生で得たモノ失ったモノ
- 故・石井紘基氏を殺したのは“誰の自由”か?自民党政策活動費と特別会計の深い闇
image by:首相官邸









