GWまでに山は動くか?就任100日を迎えるトランプが出す“答え”次第で世界戦争に発展しかねぬウクライナとガザの戦火

 

欧州各国からもスルーされ始めたゼレンスキーの動き

ドイツは総選挙を経て、SPDは大敗し、極右の台頭を許しつつも、かろうじてCDUが第1党の座を守り、メルツ氏が次期首相になる予定ですが、国内の連立構築に時間を要する見込みで、EUの盟主であるドイツは、ウクライナ案件からは取り残されていますが、メルツ氏が、ショルツ前首相とは違って、タウルスミサイルの供与に前向きと言われることから、ドイツの対ウクライナ・ロシア政策が変わり、ある意味、一線を越えることになるかもしれません。

いろいろな動きが大西洋の両側で起こっていますが、そのどれも真にウクライナの声を聴き、ウクライナのためになる方策とは考えられないのも、事実ではないかと考えます。

紆余曲折あってロシア・ウクライナ間の調停に再び関与することになりましたが、交わされる情報から判断する限り、“ウクライナのため”といわれる米ロ間の停戦協議の中身は、ほぼ“アメリカの利益拡大”と“ロシアの面子回復と国際社会への復帰のため”の内容であり、戦後ウクライナの復興と、ウクライナの国家安全保障の確保に繋がるような中身ではないように見えます。

「欧州も絡むべき」とパリで緊急に集まったり、ロシアによるウクライナ侵攻から3年を機に団結を示すためにキーウに集まったりする様子は、画面上で見る限り、絵面としては美しいのですが、参加者それぞれが抱く思惑はバラバラです。

ゼレンスキー大統領は、トランプ大統領からの圧力の増加への対応と、取り残されてはならないという焦り、そして米ロへの対抗軸・バランサーとして欧州を使いたいという戦略的な思考が入り混じった動きになっていますが、いろいろな思いを詰め込みすぎて、主張がぶれているように見えるだけでなく、またまたWish List的な内容になってしまって、欧州各国からもスルーされている状況です。

フォンデアライデン委員長(欧州委員会)については、出身国のドイツがもたつく間にドイツの居場所を死守するというシークレットミッションを背負い、同時に欧州が国際情勢の表舞台から姿を消したり、米ロそして中国を軸に回り始めている国際情勢において、欧州を埋没させてはならないという強い危機感をベースに、いろいろなところに首を突っ込んだりしていますが、トランプ大統領のレーダーには引っかからず、プーチン大統領には、欧州が一枚岩でないことを見透かされ、相手にされていません。

スターマー英首相については、欧州であって欧州ではない英国の独自の立ち位置と、アメリカとの大西洋を挟んだ特別な同盟関係を重視して、時折苦言は呈するものの、トランプ大統領に寄り添う姿勢を強調しています。

トランプ大統領からの要請を受け、いち早く、ウクライナへの停戦監視のための欧州軍派遣に加わる旨表明し、NATOにおける各国の分担金を増やすべきという主張にも同調して、トランプ政権の真似をして、途上国支援の予算を削り、その分を国防費に充てるという方針を示していますが、これは決してウクライナのために行っているのではなく、英国の対ロ抑止力の拡大や影響力の誇示という“英国のため”の政策方針に過ぎません。

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