GWまでに山は動くか?就任100日を迎えるトランプが出す“答え”次第で世界戦争に発展しかねぬウクライナとガザの戦火

 

トラブルメーカーという批判すら当てはまるマクロン

フランスに至っては次期大統領選を前に国内でRFを中心に支持が延びており、マクロン大統領および中道政党の再選はおぼつかない状況ですが、「フランスの存在感」を示すことで何とか国民の支持を取り付けようとしているのが、今のマクロン大統領の姿勢と言えます。

ドイツがもたつく中、欧州を代表して訪米してトランプ大統領との協議を行って、自らを欧州のけん引役というアピールをしていますが、英国と共にウクライナに停戦監視のための欧州軍駐留くらいしか駒はなく、こちらもまたフランス国内政治対応を主眼にしたアピールに過ぎません。

フランス外交は個人的には好きなのですが、ロシアによるウクライナ侵攻直前に「私はプーチン大統領と直接話せる」と何度もモスクワを訪れ、時にはオンラインで会談して、侵攻を思いとどまるように説得しながらも、「プーチン大統領は決して国境を越えない」と高をくくっていたのもマクロン大統領で、その後のロシアの行動に対しては半ば責任放棄していて、実質的なインフルエンサーとは、誰からも見なされていません(下手すると、トラブルメーカーという批判も当てはまるようです)。

ドイツについては、結局、ショルツ前首相のSPDは大敗し、首相の座から追われることになりましたが、ウクライナへのコミットメントに危機感を覚え、かつ支援疲れの声が高まっている国内の声に押され、英仏の欧州軍計画とは距離を置くだけでなく、「時期尚早で不愉快」とも公言して、欧州の結束を自ら崩し、プーチン大統領に付け入る隙を与えることになっています。

メルツ氏が次期首相になり、少しウクライナ支援にも再度前向きになるかもしれませんが、僅差で第2党になったAfDが反移民のみならず、ウクライナへの支援に反対していることを考えると、新政権発足後もなかなか自由にはさせてもらえないように思われるため、ドイツも国内ファーストでウクライナは切り離すことになると予想します。

「ウクライナが堕ちたら、次は欧州」とゼレンスキー大統領は欧州各国を脅して見せるものの、本心でウクライナを盾にしてロシアの脅威を食い止めたいと考える欧州各国には響かず、「協議に関与すべき」と主張してみるものの、欧州各国のリーダーの目は、ウクライナに対してではなく、あくまでも自国に向いているのが実情です。

そしてプーチン大統領と組んで和平実現を目論むアメリカ・トランプ大統領も、ウクライナを心配してのことではなく、あくまでもアメリカを一刻も早くウクライナ問題から引きはがし、かつアメリカの産業界に利益を与えたいこと、そして自らのレガシーとしてアピールしたいという“アメリカ・ファースト“と“トランプ・ファースト”の政策であり、実際にはウクライナの今後についてはあまり関心を持っていません。

「ウクライナをはじめとする旧ソ連のことはロシアが面倒を見ればいいし、欧州が口をはさむのであれば、欧州がウクライナを引き受けるべき」「アメリカは、自らが直接介入しない限り、国家安全保障には直接的な脅威を受けることはない」というのがボトムラインだと考えます。

皆、Stand with Ukraineだとか、法の支配に基づいて…とか言いつつも、結局は自国ファーストの姿勢が強調されるだけで、支援を当てにして踏ん張るウクライナは、いつ梯子を外され、見捨てられるかわかりません。

調停グループのメンバーと協議をしたり、米ロ欧州の交渉担当者たちと話をしたりしていると、同じような認識が共有されており、個人的には、「まあ、そんなものだろうなあ」とため息をつきつつも、悲しく感じています。

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