少なくとも北海道あたりまで逃げなければ意味ナシ
第2に、ここから先は「毎日」記事は触れていないのだが、これが一体どういう戦争シナリオを想定して立てられた計画なのか全く不明である。
先島からの避難は「6日間程度」で進めるというが、そのためには、いくら短くとも1週間か10日前には「住民全員退避」の判断を立てなければならない。そういう予測が可能であるような悠長な戦争シナリオになるとどうして考えるのか、理解不能である。
私はそもそも、「台湾有事」はほとんどないと思うし、あったとしてもそれが中国軍の対日武力攻撃を伴うものになることはほとんどないと思っている。
しかし仮にあったとして、最も起きやすいのは、嘉手納や普天間をはじめ佐世保、岩国、横田、横須賀、グアムなどの米空海軍の出撃基地や、それをサポートする先島の陸空自衛隊の地対艦ミサイル基地やレーダー基地への一斉ミサイル攻撃だと考える。なぜなら、それ以外に中国が日本を攻撃する理由がないからである。
それが(極めて小さい確率ではあるが)最も起きやすいシナリオだとすると、
- 6日間もかけて先島の住民を避難させるというノンビリ想定はナンセンスだし、
- 本島住民は「屋内退避」で十分という判断は誤りだし、
- それらの避難先も山口・九州ではダメで少なくとも北海道あたりまで逃げなければ意味がない。
この記事の著者・高野孟さんのメルマガ