外国人の子の数を加えなければならないやむなき事情
当時、安倍晋三は、少子化対策の一環として「幼児教育無償化」を掲げました。ま、ここまではいいでしょう。しかし、政策で重要なのは財源です。たとえば、防衛予算を1%削るだけで、全国の小中学校の給食を無償化することができます。これなら誰も困りません。しかし、安倍晋三は「消費税を増税して、その増収分を幼児教育無償化など社会保障の財源に充てる」などと言い出したのです。
これには全国の子育て世帯からも疑問の声が巻き起こりました。そもそも「幼児教育無償化」とは、子育て世帯への負担軽減が目的なのに、子どものいない世帯より日々の消費が多い子育て世帯がより大きなダメージを受ける消費税増税が財源だなんて、まるで絵に描いたような本末転倒政策です。逆に言えば、消費税増税の言い訳に少子化対策を利用したような愚策でした。
その結果、2014年に8%、2019年に10%と続けて行なわれた消費税増税によって、全国の世帯の可処分所得は大きく減少し、子育てに対する経済的負担も増大したのです。消費税増税は特に低所得者層への影響が大きく、ひとり親世帯で所得が低かったシングルマザー世帯では、45%、2人に1人が貧困家庭となってしまいました。
経済の専門家の多くは、安倍政権下で強行された二度の消費税増税が少子化を加速させた最大の原因だと指摘していますが、その指摘を裏づけするかのように、次の菅政権でも、次の岸田政権でも、日本の出生数と出生率は減少し続けました。そして、厚生労働省が今年2月末に発表した2024年の「外国人を含む国内の出生数」は、過去最少の72万988人となってしまったのです。
ここでも「外国人を含む」が気になりますが、自民党政権には、どうしても外国人を含まなきゃならない事情があったのです。2024年の「日本国内での外国人の出生数」は3万人超なので、これを足して水増ししないと、「日本人だけの出生数」では70万人を割り込んでしまうからです。
これまで政府が参考にして来た「日本の出生数の推移と今後の試算」では、年間の出生数が70万人を割り込むのは「2046年」と試算されていました。しかし、安倍政権下で強行された二度の消費税増税で一気に加速し始めた出生数の大幅減少によって、試算より20年以上も早く70万人割れをしてしまったのです。
しかし、ただでさえ自民党にとって厳しいであろう今夏の参院選を目前に控えた状況で「70万人割れしちゃいました~!テヘペロ♪」などとは口が裂けても言えません。すべては安倍晋三の悪政が原因であり、その後の菅義偉と岸田文雄の無策が追い打ちを掛けた結果なのに、そんなことまで自分の責任にされるのは石破茂だってたまりません。
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