我が国にトランプのケツを蹴っ飛ばす気概はないのか?“裸の王様”の妄動を諭すことなくケツを舐めにゆく下劣極まる石破政権

 

暴走する「歴史を持たない国」の歴代指導者たち

ところが、「歴史を持たない国」の歴代指導者は、物事をこのように歴史的=文明論的に捉えることが得意ではない。そのため、マルタ会談の当事者だったブッシュ父は、「我々は“冷戦”という名の第3次世界大戦でソ連を負かしてやったのだ。これからは米国が“唯一超大国”だ」と大錯覚して舞い上がった。

ブッシュ子はさらに知的水準が低いので、これをさらに歪曲して「旧い欧州の同盟国は相手にせず」「米国は誰にも相談せずに自分で何をどうするかを決める単独行動主義に突き進む」ことを宣言した。

これがトランプ第2期となると、さらに常軌を逸して凶暴化し、同盟国であろうと友好国であろうと近隣国であろうと、「領土をよこせ」などと公然と侮辱して憚らない所にまで堕ちてきた。

さて、16世紀以来の「熱戦」がその頂点に達した1945年8月から「冷戦」の始まりまでの間には2年ないし4年間の隙間がある。そこで起きた最も重要な出来事は、1945年10月の「国連」創立である。

なぜそれが「最も重要な出来事」なのかと言えば、国連こそが400年に及ぶ戦争塗れの世界近代史がヒロシマ・ナガサキで破滅的な頂点を迎えた直後に「2度とこのような戦争を繰り返してはならない」という痛切な思いを込めて人類が創出した不戦共同体に他ならないからである。

国連の最高議決機関は総会で、そこでは主権平等原則の下、国の大小などに関わりなく1国1票が与えられる。世界は多極であるべきで、問題は多国間の協議によって解決されるべきだという多国間主義の考え方に立つ。

このフラットな原理は、第2次大戦の「連合国」5カ国が常任のポストを与えられる安全保障理事会のあり方とは矛盾するが、これは国連が創られた歴史的経緯の名残としてやむを得ないだろう。

安全保障に関しては、世界全体もしくは一定の地域内のすべての加盟国が一堂に会して円卓方式で協議し、何よりも紛争が起きて軍事力行使に至る前に予防することを根本趣旨とする。

そのため憲章第6章「紛争の平和的解決」では、紛争当事者は「まず第1に、交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、地域的機関又は地域的取極の利用その他、各当事者が選ぶ平和的手段による解決を求めなければならない」(第33条)とし、また第7章「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為位に関する行動」に入ってもまだ、国連として武力行使に至る前に「勧告」(39条)、「暫定措置の要請」(40条)、「経済関係及び鉄道、航海、航空、郵便、電信、無線通信その他の運輸通信の手段の全部又は一部の中断並びに外交関係の断絶」(41条)と、これでもか!というほど武力行使を避けるための色々な方策を並べ立てた末に、それらがすべてダメだった場合には仕方なく……という感じで、こう述べる。

第41条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。
(42条)

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