「有能な小泉大臣が矢継ぎ早に指示を出している」という誤解
印象的なのは、小泉氏が就任直後から、矢継ぎ早に米価問題についての今後の方策をアナウンスしたことだ。
5月21日の就任会見。「今月下旬に予定している入札を中止し、備蓄米を業者に売り渡す際に随意契約を検討する」
22日夜、記者団に。「随意契約について財務省が理解してくれ、詳細な制度設計の最後の詰めをしている」
23日の閣議後会見。「(5キロ・グラムあたり)2000円台で店頭に並ぶような形で随意契約で出していくことが現時点での基本的な方向性だ」
就任早々、小泉氏一人の才覚で、こんなに素早くコトを運べるものだろうか。23日午前には、早くも楽天の三木谷社長が小泉大臣と面会し、随意契約に参加する意向を示している。手回しがよすぎるのだ。
そう言えば、小泉大臣は就任会見でこう語った。
「任命の際に、石破総理からは、随意契約を活用した備蓄米の売り渡しを検討するよう、指示があったところであります」
つまり、就任前に官邸でシナリオがつくられていたということになる。
備蓄米は国が買い入れた財産である。当然、財務省の管理下にある。その売り出し方法について、競争入札によらずに任意(随意)で決定した相手と契約を結ぶことは公平性などの問題があるため、財務省はこれまで随意契約による放出を認めていなかった。
しかし、参院選が迫るなか、なんとかしてコメ価格を下げたい石破首相は財務省から総理秘書官(事務担当)として派遣されている中島朗洋氏あたりに命じ、入札から随意契約に切り替える方策について、財務省との間で調整を進めさせていたようだ。
官邸が江藤前農水相にも随意契約を提案し、一蹴されたという報道もある。いずれにせよ、随意契約に切り替える絶好のチャンスとして、小泉氏への農相交代を利用したということなのだろう。(次ページに続く)









