中島聡が憂慮する「AI自給率」が低い日本の未来。先の大戦での石油資源に相似も「国産LLMでは国民の幸福を保証できない」理由とは?

 

“日本政府純正AI”にも全幅の信頼は置けず。解決策は?

私は国粋主義者からはほど遠い存在なので、日本も「国産LLMを作るべき」などとは思いませんが、少なくとも日本の義務教育にAIを取り入れる段階においては、オープンソースなLLMに適切なファインチューニングを施したモデルを使うのが適切ではないか、と考えはじめています。

とはいえ、この話に政府が絡んでくると、とても厄介なので注意が必要です。

時の政権に、子供たちが毎日のように触れるAIをコントロールする力を与えてしまうと、「日本軍は悪くなかった」「夫婦別姓は認めるべきではない」など政権にとって都合の良い常識を子供たちに植え付けることすら可能になってしまうからです。

米国の営利企業が経営するAIと、日本の保守政権がコントロールするAIの、どちらが日本の子供たちが言葉や常識を学ぶAIとして適切か、そんな厄介な質問に答えなければならない時代が来ようとしているのかもしれません。

国家によるAIインフラ投資には、こんな複雑な問題が絡んでいるのです。単純に「日本もAIインフラ投資をすべき」「国産LLMを作るべき」と結論付ければ良い問題ではないのです。

(本記事は『週刊 Life is beautiful』2025年6月3日号を一部抜粋・再構成したものです。「Elon Muskによる新たな大風呂敷」「ChatGPTモーメント、自動運転」「破壊的イノベーション」の各新着記事や「私の目に止まった記事(中島氏によるニュース解説)」、読者質問コーナー(今週は8名の質問に回答)などメルマガ全文はご購読のうえお楽しみください。初月無料です ※メルマガ全体約1.4万字)

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