中国新古車販売の実態
中国汽車流通協会などによると、中古車全体における新古車の存在感が急増している。
2023年のある地域では、中古車取引全体のうち、5~15%が新古車であったという報告もある。
特に広東・江蘇・河南・山東などの大都市圏で比率が高いとされている。
特定地域では中古車販売のの3台に1台が新古車というディーラーも報告されている。
「EVの墓場」の源流?
以上などの情報をもとに推定すると、2025年現在、中国の新車販売台数のうち約6~12%がこの新古車として即中古市場に流通している可能性がある。
3000万台規模の年間販売に対して、およそ200~300万台が「見せかけの販売」として登録・計上された後に、中古車として再放出されている計算になる。
最悪の場合、これらの車両は売り手も買い手もつかず、未稼働のまま物流拠点や屋外駐車場に放置される「実態不明の在庫」となる懸念すらある。
いわば「EVの墓場」の源流をなしている可能性もある。
中国当局の動き
こうした問題に対し、中国商務部(日本の経産省に相当)は2025年5月27日、業界団体とOEMを招集して新古車に関する緊急会議を開催。
今後は、登録=販売とする統計の見直し、実際にユーザーへ納車された実績に基づく新たな販売指標の導入、ディーラーへの過剰ノルマ是正など、制度面からの是正が検討されている。
一方、中国共産党機関紙『人民日報』も、NEV業界における「無制限な価格競争」を批判し、「価格戦には未来がない」と断言。内需だけに依存した非効率な販売モデルからの脱却が求められている。
数字の錬金術
結局のところ、中国の新古車とは、一見すると「お得」でありながら、実際には在庫と統計、制度の隙間を突いた“数字の錬金術”に他ならない。
このまま見過ごせば、市場の健全性を損ない、消費者の信頼をも裏切る結果となりかねない。
本来の役割に立ち返るなら、新古車は平行輸出など海外市場での活用や、特定用途での限定流通にとどめ、国内市場では「実需に基づく販売」を徹底することが、業界の持続可能性を担保する唯一の道である。
出典: https://auto.gasgoo.com/news/202506/4I70426358C108.shtml
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