玉木代表に誘われ決意したのにいまさら「公認取り消し」か。山尾氏の言い分
危機に瀕して、山尾氏が何ら成算なく、会見に臨んでいたとしたら、驚くべきことだ。それだけでも政治家の資質に疑問符がつく。誤算と言うほかない会見内容に、玉木氏らは自分たちの甘さを呪いたくもなっただろう。
ただでさえ、山尾氏擁立で政党支持率が急落し、このままでは参院選が戦えないという声が党内にひしめいていたのである。この記者会見のダメージはことのほか深刻だ。
玉木氏らは、もはや山尾氏を庇うことはできなくなった。舟山康江両院議員総会長らが山尾氏に辞退するよう働きかけたが、山尾氏はそれを拒否した。このため、執行部の判断ではなく、両院議員総会での決定という理由で6月11日、「公認取り消し」を山尾氏に伝えた。
もちろん、山尾氏にも言い分がある。山尾氏は6月7日に商店街の一角で事務所開きをし、後援会会員や支持者らが党の機関紙10万枚以上のポスティングやポスター掲示などを続けてきたのだ。いまさら「公認取り消し」はないという思いが強いだろう。悔しくてならない気持ちもよくわかる。
しかし、驚くべきは「公認取り消し」を受けた山尾氏の反発の凄まじさだ。“抗議文”には以下のような文章が綴られている。
「党から正式な公認内定を受けても、党の都合で排除されてしまう政党では、志ある方も今後立候補の決断に躊躇してしまうのではないでしょうか」
「国民民主党には感謝しつつ、その統治能力には深刻な疑問を抱いておりますので、今後は一線を画させて頂ければと思っております」
「統治能力に深刻な疑問」「今後は一線を画す」。玉木氏への腹いせのような言葉には違和感をおぼえる。
たしかに、玉木代表や榛葉幹事長が中心となって小所帯でやってきた政党が、昨年の衆院選での躍進を境に急成長し、組織のガバナンスが必要とされる段階にさしかかっている。そのための運営ノウハウや人材が不足しているのは事実だ。それはなにより山尾氏がよく知っていることであろう。統治能力不足を指摘されれば、玉木氏も返す言葉があるまい。(次ページに続く)









