米支配から日本が解き放たれていない証拠であるトランプへの屈服
今回の西日本新聞の記事は、CIAから自民党への資金援助という戦後史の闇にかかわるワンシーンが、はからずもCIA関連の米公文書によって暴かれたという点で、大きな意味を持つ。
あらためて振り返るなら、1952年に日本が連合国とサンフランシスコ平和条約を結んで独立した後、アメリカは、米ソ冷戦の激化や国共内戦における中国共産党の勝利などに対処するため、日本を反共の防波堤として支配し続ける必要があった。そのための裏工作を受け持ったのがCIAであり、自民党や所属議員への資金援助はその活動の一端だった。
敗戦後の混乱の中、GHQによって7年近くも占領統治されたことは日本人のメンタリティーに大きな影響をもたらしたと言われる。対米従属意識とか、米国依存とかいわれるものだ。自民党の有力者たちが、唯々諾々としてCIA資金を受け取っていた根底にはそんな心理構造がある。
問題は、そのようなメンタリティーが、今もなお日米関係に影を落としていることだ。石破政権が直面しているトランプ関税交渉で、米政権が突きつけた“経済降伏文書”とでも言える条件を日本政府が無抵抗に受け入れたのを、どうとらえるべきか。CIAの資金をあてにして選挙を戦ってきた議員たちの“DNA”のようなものが、そういう党や政権の体質をつくってきたのではないか。
日本の政治権力者たちが、米国に逆らうことを“政治的自殺”とみなす傾向は、“戦後の呪縛”そのものだ。トランプ関税での屈服もまた、単なる交渉敗北ではなく、まだ米国の支配から日本が解き放たれていない証拠といえよう。
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