南インドで感じた文化と市場の力。ガネーシャ祭と日本アニメが交わる未来

 

この南部の街角ではガネーシャ祭りの準備に忙しい。

この祭りはインド全土で行われ、最も人気の高い祭りとされる。

それは宗教の垣根を越えた地域の風習として位置づけられているからだろう。

ガネーシャ神はヒンドゥー教の神様で、サンスクリットで「群衆の主」を意味する。

現世利益をもたらす神、「富の神様」でもある、その姿は象の頭部とふくよかな人間の体、日本では「夢をかなえるゾウ」のベストセラーで広く世間に広まったかもしれない。

この人気の神様の祭りは地域によって期間が違うようで、10日以上や3日間など、出身地が違う人によって故郷のガネーシャ祭りの楽しみ方も様々のようだ。

今、私がいるチェンナイは1日のみで、ほかの地域の人は「ここは1日だけだ」と残念そうに話している。

露店には神様に捧げる花が売られ、大小のガネーシャ像が売られ、次々と買われていく。

この買われたガネーシャは各家庭で歓待を受け、大切な客人として盛大にもてなした後、海に帰すのだという。

チェンナイでは、祭りのすべてを1日で行われるとのことで、海に帰す儀式は明日行われるから、私は今のところ、どんなふうに帰すのかは分からない。

夕方から夜にかけて、ガネーシャ神を送るために、火をともし、祈りの言葉や捧げものを供え、最後にガネーシャ神にお願いをするのだという。

祭りの前日である今日でも、ガネーシャを祀る寺院では、祈りの言葉が断続的にこだまし、寺院の中でいくつも灯された炎に映し出されたような神様は花に囲まれ、神々しい姿となり、人々が恭しく手を合わせていった。

この祭りには宗教は関係がないから、様々な人々が手を合わせる姿を、日本の初詣と重ね合わせてみる。

しかし、祈りの声が朗々と響く中で見ていると、人口が増加する社会で、人々が捧げる祈りにも、学生と同じ強いエネルギーを感じる。

それは、生きようとする人の真摯な願いの結晶のようで、その煌めきにインドの神秘をまたも感じ入ってしまった。

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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