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「雇用を守るAI規制」か「製造業回帰」かという重大な選択

仮にマムダニ氏が勝利して、一気に民主党の左派が勢いづいたとして、例えばですが、「雇用を守るためのAI規制」を強烈に押し出したとして、アメリカの世論はどう反応するのかというと、これは賛否両論になると思います。

その場合ですが、保守の側は「AI開発は進める。そこで失われる雇用は製造業が吸収する。そのために関税政策と移民抑制で製造業を中心とした雇用を増強する」ということになります。一方で、リベラルの側は「AI開発に一定の規制をかける。また格差拡大には強烈な課税と再分配で対処する」ということになると思います。

2015年以来、アメリカの政局は厳しい分裂の中で推移してきましたが、価値観論争とか、MAGA派がどうとかいうのは、あくまで序曲に過ぎないと思います。この「AI開発+製造業回帰」なのか「規制と課税と再分配」なのかという選択といいますか、対立軸というのは、最も重要な論争になると思います。

気がつくと、左右両派ともに「グローバル経済への最適化で、アメリカは知的産業のチャンピオンに」という1995年以降のサクセスストーリーを否定しつつあります。知的産業しか残らない社会で、その知的産業すらもAIに侵食される時代への絶望と不安、怒りをどう吸収するか、経済こそ政治の根幹であり、以降の政局の軸になると思います。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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