「高市の不用意」と「習近平の心理戦」に振り回されるな。日本国民に求められる“感情を抑え国益を冷静に守る”という姿勢

 

怒りの感情を抑え冷静になることこそが肝心な日本国民

しかし、どんなことがあっても戦争は絶対に起こさないのが、平和国家・ニッポンの原理原則だ。その意味で、高市首相の発言はいささか不用意だったといえるが、それでも中国の要求に応じて撤回するべきではない。むしろ安易な撤回は、「日本の政治に介入すれば首相発言を変えられる」という誤ったシグナルを送ってしまう危険があるからだ。

「トランプ大統領から、私とは極めて親しい友人であり、いつでも電話をしてきてほしいというお話がございました」。

高市首相は11月25日、トランプ大統領の呼びかけに応じて電話会談を行い、記者団にそう語った。

習近平氏もまたその前日夜、トランプ氏に電話している。ニューヨーク・タイムズは「トランプを中国の側に近づけ、米国に日本を抑えてもらおうとする狙いがあったのは明らかだ」と論評した。

予測不能なトランプ氏をめぐって、日中双方が同時に働きかける奇妙な構図だ。どちらも気休めなのか、何らかの効果が期待できるのか、さっぱりわからない。

高市氏が首相の座にいるかぎり、日中関係は火種が絶えないだろう。だが、今のところ内閣支持率は高く、積極財政をめざす新政権への期待感は衰える気配がない。それなら、日本国民は怒りの感情を抑え、冷静になることが肝心だ。

日本が怒りに任せて反応すれば、それもまた中国の計算のうちだ。求められるのは、挑発に乗らず、原則は曲げず、国益を冷静に守る姿勢である。高市首相の不用意さ、中国の心理戦、そのどちらにも振り回されずに。

この記事の著者・新 恭さんを応援しよう

メルマガ購読で活動を支援する

image by: 首相官邸

新恭(あらたきょう)この著者の記事一覧

記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。その実態を抉り出し、新聞記事の細部に宿る官製情報のウソを暴くとともに、官とメディアの構造改革を提言したい。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 国家権力&メディア一刀両断 』

【著者】 新恭(あらたきょう) 【月額】 初月無料!月額880円(税込) 【発行周期】 毎週 木曜日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

print
いま読まれてます

  • 「高市の不用意」と「習近平の心理戦」に振り回されるな。日本国民に求められる“感情を抑え国益を冷静に守る”という姿勢
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け