また維新は自民“古ダヌキ”にダマされる?自維連立の合意文書に議員定数削減案を成立「させる」ではなく「目指す」と書き込んだ自民党の“本音”

 

強気を装いごまかす吉村維新代表の「拭えぬ不安」

同議連の幹事長を務める「有志の会」の福島伸享衆院議員はこう語る。

「人口減少が進む今、一番人口の少ない鳥取県が2議席で、1票の格差を2倍以内におさえようとすると、今後、東京の選挙区はさらに細分化され選挙区も膨大に増えていく。現行の選挙制度のままだと、むしろ定数を増やさないと制度が維持できないという議論になっている。そんな中での定数削減法案なのです」

小選挙区比例代表並立制は「政権交代可能な二大政党制」を念頭に導入されたが、現実には多党化し、理念倒れになっている。自民と維新の「議員定数削減法案」にも、選挙制度改革と併せて検討するようにとの条項が盛り込まれているが、体裁をつけているだけのようにも思える。

この記事を書いている12月10日の時点では、まだ議員定数削減法案は審議入りしていない。維新の遠藤国対委員長は「野党の遅延工作だ」と主張するが、国民民主と公明が提出している企業・団体献金の規制強化法案を通したくない自民が、定数削減法案の早期審議入りを求めて遅らせている面も否定できない。

これから定数削減法案をめぐる与野党間の攻防はさらに激しさを増すだろう。だが、たとえ与党側が押し切って衆院を会期中に通過するとしても、参院の審議が残っている。会期を延長したところで、時間切れとなる可能性が高い。だとすると、審議未了で廃案か、継続審議かだ。

テレビ番組で「成立しない場合どうするのか」と聞かれ、維新の吉村代表は「成立させるんです」と強気を装ってごまかしていたが、自民党の“古狸体質”への不安は拭えないようでもあった。

思い出すのは昨年5月の「岸田・馬場」合意だ。当時の馬場・維新代表は岸田首相との党首会談で、自民党の政治資金規正法改正案に賛成する代わりに、旧文通費の使途公開などを義務づける立法措置を講ずるよう求め、合意した。馬場氏が「要求を100%丸のみさせた」と喜んだのもつかの間、規制法改正案が衆院を通過したとたんに自民の態度が変わり、「日程が厳しい」との理由で旧文通費改革の審議は見送られた。自民の策略にはめられた馬場氏は「うそつき内閣だ」と罵った。

今回の衆院議員定数削減法案も「成立させる」ではなく「成立を目指す」と合意文書に書き込まれた時点で、熱量の低い自民党の本音がにじみ出ていた。

さて、「不成立」の場合、維新はどうするのか。「連立離脱」を断行できるなら、政治改革への維新の本気度が国民に伝わり、政党として発展の余地が残るだろう。さもなければ、せっかく獲得した政権党の座を放したくないだけの存在と人々の目に映るのではないか。

高市首相は支持率が高いうちに自民単独過半数を狙って衆院を解散する腹積もりだろう。維新を本当に必要とするのかどうか、自民党の腰はまだ定まっていない。

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