首相の解散攻勢に追い込まれた公明と立憲の提携発表
3番目は、他党の動向です。まず、立憲と公明の提携ということは、昨年2025年の内に高市氏としては、気配として察知していたのだと思われます。であるならば、先手を打ったことが考えられます。
この提携話ですが、発表以来いろいろな毀誉褒貶がされているのは事実です。ただ、時事通信社が数字を公開して話題になっているのは、前回総選挙における公明票が自民から立憲に動いた場合の議席数に与えるインパクトです。
時事のアニメは手が込んでいて、公明票が抜けた場合の自民の議席を予想、更に公明票が立憲と組んだケースの議席を予想と2段階方式になっていて、仮に試算を信じるのであれば、自民惨敗ということになるのです。ちなみに、このアニメですが、気をつけなくてはいけないのは維新と自民の選挙協力のファクターが考慮されていない点です。
後述しますが、維新というグループは今度という今度は退潮が明らかになる可能性が濃いのですが、少なくとも大阪圏だけでなく東京でも、ある程度の票があります。由来としては、渡辺喜美系の「みんなの党」崩れとか、構造改革で経済現実主義の票などです。仮に、こちらを薄く広く上乗せできれば時事通信のシミュレーション通りにはならないと思います。
いずれにしても、高市氏としては公明と立憲の提携に対しては先手は打てたのだと思われます。真相は分かりませんが、党内の取りまとめが完成しない時点で、野田+斉藤による発表があったというのは、高市氏の解散攻勢に追い込まれたと見ることも可能です。
問題は維新ですが、とにかく社保スキャンダルで炎上中です。どう考えても悪質で、組織的であり、有権者への裏切りに他なりません。ですから政党としては大ピンチなのですが、手法としては大阪のダブル選(+衆院のトリプル)に命運をかけようとしているわけです。
この動きに関しては、高市政権としてはトリプル選については、維新に勝手にさせるという判断なのでしょう。対抗馬は立てないし、無風になれば選挙運動を盛り上げることもできない、小選挙区は提携するが、比例の得票は維新にそんなに流れないようにする、そんなイメージです。また、政策面では大きなことを言わせないということで、副首都の話も、定数削減の話も曖昧にできている感じがします。
他政党の動きということでは、参政党との関係もそんなに心配しないでいいという判断があるのだと思われます。昨年の参院選では、自民党から参政党が「保守票」を奪ったと見られています。ある意味では、自民党が高市早苗という総裁人事を選択したのには、「保守票が満足する」ようなキャラであり、参政から票を奪還できそうという見通しがあったのは明白です。
効果はあるようで、神谷党首などはあえて高市政権との違いを出さずに、「高市氏が仕事をしやすいように」するなどと言っています。ただ、こちらも例の二重性が可視化されて、高市政権は結局は「典型的な自民党政権」だということになれば、何らかの動きを始めるかもしれません。その意味で、このタイミングで解散すれば参政を恐れずに選挙ができると踏んだ、政権側にはそんな計算もありそうです。
さて、選挙戦の行方については、現時点では全く見えません。まずは、国民民主の動きが気になります。さすがに一転して財政規律を言うことはないでしょうが、少なくとも「壁」も「減税」も与党に呑ませた格好とはなっています。それを自分たちの成果とするのか、それとも実現してしまったことでテーマ喪失に陥るのか、注目して行かねばなりません。立憲と公明、自民と維新の両勢力は、それぞれ盤石ではない中では、一部の有権者が国民にバランサーの役割を期待することは十分にあります。
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