「G7マイナス米国」に与する姿勢を示し始めたカナダ
欧米の分裂の気配が鮮明になり、国際協調や法の支配に基づく国際秩序よりも、力による外交を推し進めるアメリカの姿を前に、G7諸国は(日本を除く)、スティグリッツ教授が言うように、【Gマイナスアメリカ】、つまりアメリカ抜きの新国際秩序の確立をまじめに考え始めているのかもしれません。
トランプ政権が66の国際機関や条約から一方的に脱退し、気候変動や貿易問題、SDGs、多様性、公衆衛生、教育文化のプロモーション、貧困問題、開発などの“多国間主義”に基づく国際体制に背を向け、独自の力任せの支配を押し付けることに嫌気が差し、付き合いきれないと考え始める国々が増えてきているように思われます。
これまでアメリカと一緒くたに見られてきた北の隣国カナダも、ベネズエラで起きたことを見て、いつアメリカの毒牙がカナダに及ぶかもしれないという、一見あり得ないと考えられてきた脅威を現実のものとして感じ始め、アメリカと距離を置き、自国を法の支配による新国際秩序の中核に据えようとし、このG7マイナス米国に与する姿勢を示し始めているように感じています。
私が携わっている紛争調停のコミュニティーには、まだこの分裂の波が襲ってきてはいませんが、力をもつ者が世界の趨勢を勝手に決め、他国の話に耳を傾けないような状況が拡大するようなことになれば、“調停・仲介”というコンセプト自体が絵に描いた餅のようになってしまい、これまで協調の下に解決されてきた紛争が、解決の糸口を見つけられないまま、大国の意向にのみ左右される世界の中で、実質的な役割を失うことになるのではないかと懸念しています。
このアメリカが推し進める力の外交と“国際社会からの離脱”を窘め、アメリカを再び国際協調の軸に引き戻すことができるのは、G7の他の国々がアメリカとの緊張関係にある中、日本ぐらいだと考えるのですが、グリーンランド問題を前にしても反応を示さないのは得策と言えるのだろうか?と懸念を抱いてもいます。
個人的には、世界の現状(軍事・経済力など)に鑑みるとG7が世界のリーダーではないことは明らかだと考えているため、そろそろ現状に見合った新世界秩序を構築すべきだと感じていますが、その前にG7の最後の役割として、アメリカを国際社会に引き戻し、トランプ大統領が推し進めるBoard of Peaceを否定するのではなく、そのスタイルや案を国連の改組・改編の参考として取り入れることを望んでいますが、果たしてどうなるのでしょうか?
今年11月にアメリカは連邦議会中間選挙を迎えますが、アメリカ国民・有権者はどのような判断を自らの国に対して下すのか?それまでに何らかの前向きな姿勢が出てくるのか?それとも秋の審判を待たずに、トランプ大統領と政権はグリーンランドを取りに行き、欧米関係を破壊し、世界を取り返しのつかない方向に導くのか?
正直なところ予測不可能ですが、いろいろな可能性を考えて、少しでも望ましい方向に世界が進むことができるよう、微力ながら貢献できればと願っています。
以上、今週の国際情勢の裏側のコラムでした。
(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2026年1月23日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)
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