自民・高市政権「消費税12%論」の噂は何を意味するのか?選挙後に浮上すること間違いない“本当の議論”とは

 

各党に共通する「消費減税はしない」という裏メッセージ

選挙区事情ということですと、今回は2月の厳冬期の選挙となったことで、投票率の動向が気になります。現時点のような天候が続く場合には、札幌とか青森に関しては相当に低くなるかもしれませんし、いずれにしても季節と投票率と結果の分析は必要になってくると思います。

選挙のメカニズムということでは、昔から投票率が下がると組織票の強い公明と共産が勝つということが言われてきています。一般的に、雨が降っても台風が来ても、学会と共産党員だけは投票所に行くなどという表現もありました。今回も厳寒で荒天の中でも、そうした傾向が出るのか、それとも有権者の高齢化によって、こうした傾向が弱まるのかを見極める必要もあります。

高市氏が公明党との「手切れ」を呑んだ背景には、組織票の減少と結束力の弱体化という状況を計算してのことかもしれず、その点の検証は必要でしょう。ところで、この種の「組織票の締付け」問題を考える上で重要なのは、その手段です。一説によれば、有力者を投票立会人にして、その人が「組織票メンバー」が「本当に投票したかのチェック」をしているという説があります。

また、そうではなくて、投票所の出入りを物陰に隠れてチェックしているという説もあります。例えばですが、自民党系の町内会、野党系の組合などは、そこまでの「締め付け」はできないし、していないが、公・共の場合は昔から堂々とやってきたという説もあります。だとしたら、これは有権者の棄権の自由を奪っているわけで、法律には今のところは触れないのかもしれませんが、公序良俗には反するという議論は可能かもしれません。

さて、それはともかく、選挙戦はアッという間に終わって、やがて結果が出ます。今回の選挙の場合は、非常に特殊な構図があります。それは、今のところはほぼ全ての与野党が「消費減税」を公約しているということです。そして、その財源は曖昧なままです。

例えば、自民党は、

「26年度中の食料品の消費税ゼロ化を希望し、検討を加速」

としています。この表現は、どう考えても「できないし、やらない」というメッセージとしか思えません。一方で、中道連合も

「食料品の消費税ゼロ化を恒久減税として、財源は政府ファンドや基金の余剰資金」

としていますが、これも「できません」と言っていると考えられます。

問題は、そのように深読みして「消費減税はできないし、やらない」だろうということを、考えている人はそれほど多くはないということです。ここまで「ゼロ化」だとか「物価問題が第一」と叫んでいると、選挙が終わった瞬間から例えば「食料品の消費税ゼロ化」への要求が強まることが考えられます。

解散前は、「だからこそ、選挙前には予算審議はできない」のであって、高市人気を使って「選挙に勝って衆院を支配した上で」予算審議をする、財務省にしても政権にしてもそう考えていたことが推測できます。

そうなのですが、やがて選挙は終わり、否が応でも時間は先へ進んで予算審議になります。そこで、いったいどんな議論をするのかですが、3つの要素が絡んできます。

  1. 本当に消費税ゼロにするなど財政規律を崩すと、投機筋が円を叩き売り、トラスショックの再現になる
  2. 仮にショッキングな円の暴落が回避できたとしても、現状の長期金利水準(40年国債でほぼ4%)が続くと、金融機関は減損処理が膨らんで3月決算が乗り切れない(特に生保など)
  3. かといって、円が暴騰すると、日本の多国籍企業は外貨建の業績が縮小してしまうので、同じく3月決算が乗り切れなくなる

財務省は「ザイム真理教」などと言われて、「夢のような中長期の理想論」を自分たちの生活に優先する貴族だとして批判されていますが、実際はこの3つの問題はあと2ヶ月のうちに起きてしまうのです。

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