自民・高市政権「消費税12%論」の噂は何を意味するのか?選挙後に浮上すること間違いない“本当の議論”とは

 

今回限りの「対中危機感で選挙をやって勝つ」チャンス

では、強硬派は本気で侵攻する気なのかというと、それは台湾は他でもない中華の一部ですし、何よりも漢人とローカルが平和的に共存している島です。そこへ強硬策で進むというのは非現実的です。更に、破壊をした場合の再建コストが背負えるのかという問題もあります。また、平和的な調略で落とすという可能性もありますが、その場合でも「台湾問題が消滅してしまう」という難点があります。

西側貿易から追放された場合に経済が崩壊する危険、更には「一人っ子世代」であり、一人の兵士が「両親祖父母6名」を背負っている中では、実戦リスクは取れないということもあります。何よりも、中国4,000年の歴史の中では、「東の戦争に関与すると王朝を失う」という経験則もあります。ですから、本当にやるという決断はできないと思われます。そうなのですが、それでも正直にできませんというと弱腰になるので、強硬派が出てきて対立軸に据えるという政治のメカニズムは可能性として十二分にあると思われます。

そこまで考えると、これも予想ですが、28年に現在の指導体制が続投となった場合は、この両派の均衡が保たれて、今のような「台湾への脅しは継続」「バブル遺産の償却は継続、汚職摘発も継続」ということになるのではと考えられます。一方で、現体制が丸15年で終了し、世代交代が進む場合には、もっとギャンブル性の高い政策が採用される危険があります。

こうなると、想像力の手を思い切り伸ばした感じになりますが、例えば、政権が変わった場合に、バブル崩壊のマイナスは一気に政治的清算、その上で緊縮の停止、積極経済への転換というシナリオはありそうです。そして、そうした経済政策が大失敗して、通貨の崩壊が起きて、その時点で政治的延命策として侵攻が検討されるという順番はあるかもしれません。具体的には可能性としては、2030から31年辺りになるかと思います。

このシナリオから考えると、日本の軍事外交に関しては、現状の延長であと2年から3年を引っ張り、その間に対中関係の改善を模索するということで、とりあえず当面は良いのではと思われます。仮にそうだとすると、対中危機感で選挙をやって勝つというチャンスも、今回限りかもしれません。

高市現政権の言動に関しては、賛否両論と毀誉褒貶があるのは自然だと思います。そうではあるのですが、「できること」の範囲は意外と狭いのです。そして、今回の選挙は非常に不思議なタイミングでの選挙となっています。予算審議前ですから、不可能な減税を口にすることが可能になっています。対中関係は(恐らくは)向こうの事情で悪化しているので、危機感を求心力に使えています。

ですが、選挙が終われば事態は全く違ってきます。通貨と金利を死守し、同時に対中関係の安定化を模索するタイミングが来ます。選挙に勝った場合は、3月には総理の訪米も計画されていますが、今とは全く別の環境における全く別の意味合いを持った首脳会談となることが予想されます。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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