高市早苗が仕掛けた“野党分断”工作か?カタチばかりの「国民会議」が炙り出した巧妙な“罠”

 

参政、れいわ、共産は招かぬ高市「排除の論理」の冷徹

「給付付き税額控除」は長年、立憲民主党が悲願としてきた政策であり、「中道」としても必ず実現させたい。だが、そのために設けられるはずだった国民会議に、2年限定付きの消費税減税案が加わったのである。もし「財源がないからやめます」などという結論になったら、こちらも責任を問われるのでは…という疑念が拭えないかぎり、安心して出席できない。

「切り分けていただけないか」と小川代表が本音をぶつけたのに対し、高市首相は「同時並行で進めることにした。給付付き税額控除が議題の時だけ出てもらってもよい」と素っ気なくかわした。小川氏はなおも食い下がる。「食料品の消費減税はやります、その前提の会議ですという明快な答弁をいただきたい」。すると、高市首相は「政府として責任をもってやっていく」と消費税減税を明言した。

それでも小川代表の心配は尽きない。中道は食料品の消費税に関して、恒久的に税率ゼロを主張しており、2年限定という高市首相の方針とは相容れない。国民会議に参加し意見を言うのはいいが、高市首相のロードマップ通りに議論が決着した場合、2年後に消費税率が元に戻ることについての“共同責任”が生じるだろう。

それにしても、高市首相はしたたかだ。「給付付き税額控除」に、わざと与野党で意見統一することが難しい消費税減税をくっつけたあたりに、“野党分断”の計略が見え隠れする。

中道は恒久減税、国民民主は食料品に限らず一律5%への減税、チームみらいは減税そのものに反対だ。一方で、参政党やれいわ新選組、共産党など「消費税廃止」「大幅減税」を叫ぶ勢力は、はなから“招待状”すら届かない。この「排除の論理」もまた冷徹である。

本来、野党の役割は政府が出してきた法案を国会で厳しくチェックすることだ。国会に案が出る前の「国民会議」で一緒に政策を作ってしまうと、いざ国会で審議するさい、追及が甘くなるのは必定。下手をすると、政党が政府の「下請け」のようになってしまうおそれすらある。

今回の「国民会議」、もとをただせば、立憲民主の代表だった野田氏が昨年9月、当時の石破首相に自民・公明・立憲の三党で「給付付き税額控除」の協議体をつくることを提案し、合意に持ち込んだのが起点だった。

「給付付き税額控除」はアメリカ、イギリス、カナダなどで採用されている中低所得世帯への支援策だ。たとえば1人あたり4万円を所得税から控除することになった場合、税額が3万円の人は3万円が控除され、控除しきれない1万円が現金で支給される仕組みだ。もちろん富裕層は除外され、どの所得ライン以下に対象を絞るかによって必要な財源が異なってくる。

財務省は消費税減税、給付付き税額控除のどちらにせよ、莫大な財源を必要とする政策には乗り気ではないが、消費税減税よりは給付付き税額控除がマシと考えているだろう。対象世帯を絞れば、給付付き税額控除のほうがはるかに少ない財源ですむからだ。

しかも、マイナンバーを活用した迅速な所得把握が必要になるため、マイナンバーとすべての銀行口座の紐付けを義務化しやすくなるという財務省にとっての“実利”がある。

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