「トランプの娘婿は信用ならない」イランが交渉役として指名した“マトモな思考”を持つ米政府の要人の名前

 

「ホルムズ危機」の裏で進むロシアの利得と影響力拡大

とはいえ、アメリカとイランの間での軍事的エスカレーションと、その背後にあるイスラエルの意図に国際社会は翻弄され、イランによるホルムズ海峡の封鎖によるエネルギー供給および石油関連化学(化学肥料や石油化学製品)などの生産・流通が大きくダメージをくらう状況に陥り、原油価格の高騰に伴うガソリン・軽油・重油の価格高騰と、各国の備蓄への影響、そして化学肥料の生産・流通の停止による食糧安全保障への懸念が拡大しています。

マーケットはトランプ大統領の発言に一喜一憂し、まさに翻弄されている状況で乱高下を繰り返して混乱を招いていますが、これはトランプ大統領がイランの実力を大きく見誤ったことと、NATO諸国がアメリカの独断専行の行動になびかずにアメリカ(とイスラエル)から距離を保つという誤算の結果と言えるでしょう。

その結果、誰が思わぬ利益を手にしたか?つまり、誰が“棚から牡丹餅”の利を得たと考えられるかといえば、間違いなくプーチン大統領とロシアではないかと思います。

ベネズエラへのアメリカの侵攻の後、イランへの攻撃が行われ、ホルムズ海峡が閉鎖されるという事態を受けて原油価格が高騰し、湾岸諸国の石油関連施設がイランのみならず、イスラエルからの攻撃対象にされ、悉く関係インフラが破壊され、湾岸諸国の生産能力の低下と、ホルムズ海峡閉鎖に伴う流通の停滞を受けて、大きな変化が起きています。

アメリカ自体は石油備蓄の懸念は少ないものの、アメリカ国民がガソリン価格に非常に敏感であり、原油価格の高騰がガソリン価格の高騰に直結することにより、トランプ政権への支持率が低下するという事態を嫌ったトランプ大統領が、禁じ手としてロシアに対する制裁を緩和し、ロシア産原油および天然ガスの国際市場への供給を許すという策に出たことで、これまで制裁下で弱みに付け込まれて買いたたかれていた原油・天然ガスの販売価格を上げることに成功し、巨額の収入を得ることに繋がりました。

背景には、トランプ政権による対ロシア制裁の緩和を受けて、ロシア産原油と天然ガスへのニーズが一気に高まり、インドや中国に対する切り札の獲得と、欧州各国に対する交渉ポジションの強化を一気に手に入れたことで、対ウクライナ戦争の原資が増え、ロシアがウクライナ戦争継続のための余力を回復することに繋がっています。

そして、アメリカがイランに手こずり、全世界に配備していた武器弾薬と装備を中東地域に移動させたことと、イスラエルへの武器供与を優先的に行うことにより、ウクライナへの武器供与を事実上ストップしたことで、ウクライナを軍事的に圧倒しやすくなっただけでなく、アメリカによるロシア・ウクライナ戦争への直接介入への懸念を大幅に軽減することに繋がるという“漁夫の利”を得ることになりました。

S&Pグローバルの副会長で、世界的なエネルギー経済学者のDaniel Yargin博士によると「まさにプーチン大統領とロシアにとって、宝くじが当選したかのようだ」と表現するほど、今回のイラン情勢はロシアを利することになったと考えます。

しかし、それがイラン情勢の解決を近づけるかというと、必ずしもそうとはならず、ロシアは今回の棚から牡丹餅で得た膨大な利潤を自らの対ウクライナ攻略に向けることができるだけでなく、友好国であるイランに対する支援の拡大と継続にもつながるという、非常に矛盾に満ちた状況を作り出しています。

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