高市早苗が“最側近に羽交い締め”の屈辱。トランプ要請の「自衛隊派遣」を全力で止めた今井尚哉との“激論”全内幕は誰がリークしたのか?

 

事態を静観していた党の実力者たちからも聞かれ始めた苦言

霞が関に見捨てられた総理は官僚たちのサボタージュにあい、官僚機構を統制する官邸の機能がマヒ状態となる。民主党政権の一時期がそうだった。これまで、事態を遠巻きに静観していた党の実力者たちからも、苦言が聞かれ始めた。

核合意後の2015年、外務大臣としてイランを訪問した経験を持つ岸田文雄元首相は日本・イラン友好議員連盟の総会に姿を現し、トランプべったりに見える高市外交を意識して、こう語った。

「日米同盟を基軸にしつつ、友好関係を維持してきたイランとバランスを取る」

「我々はあらゆる外交チャネルを駆使して対話をおこない、課題解決へ向け汗をかかないといけない」

対米一辺倒でイランとの対話を疎かにする高市外交への強烈なカウンターである。「あらゆるチャネルを駆使」とは、アメリカという単一のチャネルしか見ていない高市首相を暗に批判したものと受け取れる。

高市首相は6日の参院予算委員会で、「もうすでにイランとは何度も何度も(政府間協議を)行っている」と言明、首脳会談についても「段取りをつけている」と述べた。しかし、外務省の実務部隊がイラン側と実のある交渉ができているとは考えにくい。

イラン当局は極めて情報に敏感だ。高市氏が訪米前に自衛隊派遣を前向きに検討していたという内幕を彼らが知らないはずはない。もし高市氏が本当にイランとの首脳会談を強行しようとすれば、今度はトランプ氏から「裏切り」と見なされるリスクが生じる。

岸田氏は身動きしにくい高市首相の弱点を突いて、政治的なアピールにおよんだと見るべきだろう。派閥こそ解消した形をとっているが、旧岸田派のメンバーや、彼を支えた財務省・外務省などの実務型官僚とのパイプは依然として強固だ。安定感のある林芳正氏(総務大臣)あたりを担ぎ出すための布石を打ったとも言える。

政策通として自尊心の強い高市氏だが、こと外交の実務に関してはやや覚束ない面が日米首脳会談の場で垣間見えた。トランプ氏から想定外の質問が飛んできた時、戸惑う高市氏の代わりに回答したのは茂木外務大臣だった。

高市首相は麻生太郎氏の支配から完全に脱するため、麻生氏の義弟である鈴木幹事長を切ろうとしていると噂されるが、その動きが強まれば、麻生氏は来年の総裁選を見据えて“茂木推し”を鮮明にし、対抗しようとするだろう。

高市首相にとって唯一の「癒やし」といえるのが、日本維新の会との蜜月関係だ。維新は副首都構想など独自政策実現のために、首相の「突破力」を称賛してやむことがない。

しかし、一国の首相が、他党に心の拠り所を求めるさまは、あまりにも危うい。予算の「年度内成立」を逃して統治能力に欠けることが露呈してしまった高市首相が、その“人気”とは裏腹に、苦境に陥っているのは間違いない。

もし今井氏の「羽交い締め」がなければ、高市首相は戦後日本が築き上げた平和主義のブランドを一夜にして瓦解させる決断をしていたかもしれない。総理の「孤独な暴走」がこの国の最大の危険因子となってきた。われわれ国民は真正面からそのリスクを突きつけられている。

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image by: 首相官邸

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