英語と数学を子どもたちに教え維持すべきだった技術の優位性
今回は、やや「なぐり書き的」な感慨の表明になりましたが、もう一つ、80年代というのは自動車産業が「我が世の春」を謳歌した時代でもありました。同時に、世界から、特にアメリカから「安くて性能が良くて、壊れなく、そして燃費の良い車」を作るのは悪だと散々叩かれた時代でもありました。
勿論、多少は抵抗を試みたものの、政官は屈服して現地生産の立ち上げと、輸出自主規制に踏み込んでいったのでした。何も考えずにでした。そのツケは回り回って、産業と経済の巨大な空洞化となり、更に言えば生産技術の犯罪的な流出につながり、回り回って日本という国の力を根幹から奪っています。
80年代はその意味でも崩壊と敗北の端緒であったのでした。自動車戦争を徹底的に戦えばよかったのだというのではありません。自動車が空洞化してゆくのなら、宇宙航空に行くべきだし、何よりも歯を食いしばって英語と数学を子どもたちに教えて、技術の優位性を維持すべきだったのです。
そうした覚悟や姿勢のないままに、ホイホイと空洞化を進めた結果が、本当に産業競争力がなくなり、世界の市場が理解できなくなり、「軍需頼みに落ちぶれた」のが現在です。豪州に駆逐艦を買ってもらって喜んでいるというのは、世界の21世紀の消費者向けビジネスをヤル気も能力もなくなったからで、それは80年代から現在に至る息の長い「連敗街道」の結果でもあります。
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