核によるイラン攻撃で究極の矛盾を行うことになるイスラエル
ロシア・ウクライナ戦争の停戦および終結を訴えて、交渉を促す議論が活発化する一方、1ミリでも多く領土を獲得し、自らの勢力圏を拡げる軍事行動は止まることを知らずに続けられ、戦況が膠着しつつも、日々、誰かの命が奪われ、インフラが破壊されることで、停戦後の復興をさらに難しくしています。
交渉による和平の必要性を訴えつつ、同じ国が自国の武器産業・軍事産業の興隆を進めるべく、“軍事支援”というそれらしき名の下で戦争当事国に武器弾薬を提供・供与し、継戦努力を支えていますが、それは果たして一貫している意見・立場といえるでしょうか?
イスラエルがガザ地区を“自衛”の名の下、破壊し、一般市民を殺害している状況を見て、国際社会はイスラエルとハマスに停戦を呼び掛け、また人道危機の解決を訴えていますが、アメリカはイスラエルに軍事支援を行ってガザや周辺国の破壊を後押しし、ドイツやUAEはイスラエルから防空システムを購入して、イスラエルの戦費を間接的に賄っているのも事実です(ドイツを含む欧州各国はようやくイスラエルからの武器の調達を停止しましたが、UAEは新たにイスラエル製武器の購入グループに入りました。例えイスラエルの武器が、イランの顔をして、UAEのインフラの破壊に関わっていたとしても、UAEはイスラエルの罪を追求するよりも隣国イランとの対峙を選んだことになります)。
そして今、アメリカとイスラエルはAI兵器を導入して、イランに対する攻撃を続け、通常戦争よりもはるかに少ない人員で作戦を実行していますが、イランからの苛烈な反撃に直面して、“人的犠牲を最小限にする”というAI兵器の特性を活かしきれず、大きなジレンマに陥っています。
そこでアメリカとイスラエルが別々に考え始めているのが、イランに対する核兵器の使用の可能性なのですが、そもそも両国がイランへの攻撃を“正当化する”ために用いた理由は何だったでしょうか?
確か【イランの核開発の阻止】でしたよね?
「イランが10基の核弾頭相当分の濃縮ウランを保有しており、短期のうちに核兵器が開発されるものと見ている。これはイスラエルによって重大な危機となるため、イランが核兵器を保有する前に叩かなければならない」
そう主張して“イランの危険性”を消すために、アメリカとイスラエルがイランの核施設を大規模攻撃したのが昨年6月。
しかしトランプ大統領が「100%破壊した」と豪語したにもかかわらず、再度2月末にイスラエルと共にイランへの大規模攻撃を行ったのですが、予想以上にイランの反撃にあい、かつホルムズ海峡の閉鎖という、世界経済を混乱に陥れる武器をイランに用いられ、戦況が硬直化するのみならず、世界にエネルギー危機をもたらし、そしてアメリカがタブーとする米兵の犠牲が膨らむなか、埒が明かないからイランへの核攻撃も辞さない…とは、笑止千万なダブルスタンダードの極みです。
トランプ大統領による核兵器の使用は軍のトップが自らの職を賭して止めたと言われていますが、同じレベルの“抑止”はイスラエル国内では働くとは考えられず、もしイスラエルがこれまで公には認めてこなかった核を用いてイランを攻撃するような事態になれば、イスラエルは自らが掲げた脅威を自らが地域に与えることになり、究極の矛盾を行うことになります。
すでにイスラエルはガザ地域における非人道的行為(ジェノサイド)によって国際社会において孤立し、その行いは止まることを知らない状況ですので“孤立”は恐れないかもしれませんが、このまま突き進むことになると、アメリカに見限られる時限もそう遠くないと考えられ、アメリカの庇護を失った上で周辺国からの“攻撃”に対応しなくてはならず、防衛のために核の先制使用を考慮する可能性は決して否定できません。
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