戦争へのAIの導入で薄れていく人間の「自分事」という感覚
先にも触れましたがこのLAWS(自律型殺傷兵器システム)の一環として、AIが核兵器の運用に関与するようなことになれば、60年以上前に手塚治虫さんが『火の鳥 未来編』で描いたように、AI同士の対立から核戦争を引き起こし、その結果、人類を滅亡させるというシナリオや、マンガ『AIが支配する世界』の中で最先端AIラウームが人類の指導者となって“人類の進むべき方向”を指し示しつつ、AI間のエゴ(どちらが優れているかの争い)に巻き込まれてAI間で核戦争を起こし、人類と地球の破滅と再生を何度も繰り返し、最後はラウーム自身の自己破壊でしかこの悪循環を止められないことに気付いてラウームが自らを破壊するというフィクションに描かれたような世界が具現化するようなことになるかもしれません。
個人的にはAIの活用拡大には賛成なのですが、大事なのは人間が指揮と責任を明確に担い、倫理的な理念と基準に沿ってAIを私たちの決定に対して補完的に用いるという姿ではないかと考えます。
ちょっとSFチックで、大げさな話、または妄想にさえ感じられるかもしれませんが、核兵器という究極の自殺兵器の制御から、私たち人間の倫理が外れ、短期的な人的被害を最小化するという目的を重んじすぎてAIに自律性を与えるような方向に進むのであれば、最後に描いたAIが支配する世界は、あながち空想、妄想の世界とは言い切れないのではないかと感じます。
NPT再検討会議で感じた無力感、紛争調停努力のプロセスの中で聞かされる非人間的な戦争の姿、輝かしく報告される戦争におけるAIの役割の拡大と、その影で生まれるエラーによる多大な人的犠牲の存在の軽視の現状、そして戦争へのAIの導入が拡大されるごとに薄れていく私たちの“自分事”という感覚…。
これらに晒される中、今回のコラムの内容なちょっと悲観的になってしまったように思いますが、いかがだったでしょうか。
いろいろ複雑な思いが錯綜する、今週の国際情勢の裏側のコラムでした。
(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2026年5月8日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)
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