核弾頭が中東諸国に降り注ぐという最悪のシナリオも
イスラエルの場合、さらにLAWSの開発も非常に高レベルまで進められており、もし核弾頭の小型化に成功していれば、イスラエルが追い詰められたと“判断”して、生存の確保のために周辺国を攻撃することを結審したら、核弾頭がLAWS性能を有する無人ドローンなどに搭載されて、イランおよび周辺アラブ諸国に降り注ぐという最悪のシナリオも覚悟しなくてはなりません。
そのような悲劇的な結末を止めることができるのはイスラエル国民だけということになりますが、果たしてその自律的な抑止力は機能するでしょうか?
今週、野党が連合を組み、新党を立ち上げて反ネタニエフ勢力を結集したとのことですが、ネタニエフ首相が主導する対イラン・対ガザ・対レバノンへの攻撃に対する国民の支持率はまだ高止まりしていることから、何らかの別の論点を見つけられない限りは、薄氷を踏む状況とはいえ、ネタニエフ体制が秋以降も続くことになるかもしれません。
そうなったら、もう何が起こるか予測がつきません(国民の信託を得たとして一気に核使用を含む対イラン攻撃に乗り出すか、“焦る必要はない”と一旦攻撃の手を緩めるのか?)。
国内で整理が行われる以外に考えうるシナリオは、サウジアラビア王国などと相互安全保障協定を締結している“核保有国”パキスタンによるOn behalf of Saudi Arabia and its friendsの攻撃です。
この場合、イスラエルがアラブ諸国を攻撃するという大前提が必要になりますが、イスラエルによる攻撃が核を伴うものなのか否かによって反攻の中身が変わってくることになります。
核の場合は、核による報復も視野に入れた状況になりかねず、そうなると中央アラブ地域は、恐らく最も核のプレッシャーが高まる地域になってしまいかねず、核兵器の相互使用を伴う初の世界大戦のトリガーになりかねません。
その際、自国を防衛しつつ、確実に大きな威力を発揮するためという“安全の確保”と“威力の最大化”を両立するために、AI兵器と核兵器を組み合わせた攻撃が行われる可能性が高まります。その場合、人による抑止が働かないことが予想されるため、AIの自律性が高まるほど、核使用のハードルは下がるものと考えられます。
核使用の脅迫といえば、ロシアが思い浮かびますが、核ドクトリンを改訂し、核兵器を再び“使うことのできる現実的な大量破壊兵器かつ戦略的な兵器”として位置づけたため、使用の危険性が高まったという分析結果があるものの、ロシアが核兵器を積極的に用いることは考えづらく、仮にあったとしても、それはロシアの国家安全保障が本当に侵される恐れが出てきた場合の“自衛的な使用”に限られると考えます。
数人のロシア専門家と話した際に皆が言っていたのは「ロシアは核兵器を持ち、今後も持ち続けることになるが、それはあくまでも力の均衡を保つことと、ロシアへの攻撃を防ぐためのものであり、攻撃のための兵器ではないという認識がシェアされている。またプーチン大統領は『アメリカが唯一核兵器を2度も無差別殺戮に用いた国』という対米非難の究極のカードを維持することを望んでいるため、ロシアが使用することを想定していないと考える」という内容で、ロシアによる核使用は実際にはないという認識を持っていました。
またプーチン大統領は以前「願わくは、核兵器は実際には使えないし、決して使ってはならない兵器でありつづけることが重要」との見解を繰り返し述べていたことから核使用の決定を下すことは無いと考えます。
この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ






