トランプ訪中で「日中関係」はどう変わってしまうのか?世界各国の「米国への信頼低下」と「中国の地位上昇」という現実

 

「50歳未満の成人の3分の1」が中国に好意的なアメリカ国民

また中国がアメリカにとって「パートナー」か「敵」か「競争相手」かを尋ねたところ、2025年よりも中国を「敵」と見なすアメリカ人は減少(33%から28%に)したことも示された。

ピュー・リサーチ・センターの調査は、共和党支持層で中国に対する見方が厳しく、民主党支持層ではそれが大きく改善されるという伝統的な傾向が相変わらず明らかになっている。

だがその一方で興味深かったのが年齢層別に中国に対する見方が大きく異なって現われたことである。

前述したピュー・リサーチ・センターのホームページの記事には、以下のような記述が見つかる。

若年層は高齢層よりも中国に対して好意的な見方をしている。50歳未満の成人の約3分の1(34%)が中国に好意的な意見を持っている。50歳以上の成人では、そうした意見はわずか19%でしかない。また、50歳未満のアメリカ人は、50歳以上の人々と比較して、中国をアメリカの「敵」と答える割合がはるかに低い(20%対38%)のである。特に共和党員では、年齢による差が大きい。

この理由をインターナショナル・クライシス・グループのアナリスト、アリ・ワイン氏は「ドナルド・トランプ米大統領が中国のせいだと非難したCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の記憶が薄れたこと。トランプ氏が2期目に西半球と中東に焦点を当て、北京がアメリカ人の関心の最前線から外れた」ためだと分析する。

だが、それだけではない。この裏側にはアメリカがイランとの戦いで圧倒的な火力を見せつけても、中国がほとんど揺らいでいない現実を世界が目撃してしまったことが影響したとの指摘もある。

ノルウェー防衛研究所のヨー・インゲ・ベッケボルド中国担当上級フェローは、『ニューズ・ウィーク日本版』に寄稿した記事の中で、その力の差を以下のように記述している。

(湾岸戦争が起きた)91年当時、中国に衝撃を与えた米軍との技術格差はもはや存在しない。それどころか、今や中国の軍事力への自信は増す一方。アジアが対米戦の戦場になれば、自国に「地の利」があることも承知している。

イラン戦争は様々な意味から、悪手だったのかもしれない。

(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2026年5月10日号より。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録下さい)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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